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育休取得はひとつの例でしかない

仕事の基本、みたいな話題で報連相(ほうれんそう・報告、連絡、相談)がありますが、いまは"ざっそう"(雑談、相談)なのだと読んだことがあります。

以前書いた記事で、男性の育休取得を増やすためには、職場での雑談(とくに家族の話)を増やすことで、性別を越えた必要性や体験談が共有できて、取りやすい環境につながるのではないか、と書きました。

とはいえ、実際に家族のことを話すのは構えてしまうし、ほかのひとの家族の話なんてしてもらえないかも知れない、とも思います。

以前の職場は男女比が1:9くらいだったので、必然的に「お母さん」たちが多く、子どもの話もしやすかったし、経験も色々と聞くことができました。往々にして子育ての先輩たちが多く、少し水を向ければ、経験も含めて「まぁ、大丈夫だよ!」と言ってくれました。

いまの職場はその男女比が逆転し、ほぼ男性。

いわゆる男社会で、家族のことは恥ずかしくて話題に上がりにくいといった空気を感じています。まあ、僕が気にしすぎているのかも知れませんけどね。

住んでいる地域も異なれば、家族構成もよく分かっていないことも、共通の話題を作り出せない原因になっているのかも知れません。

なにより雑談が少なくなりました。

そんな中で、何とか会話の糸口を掴むために、もともと苦手な「話しかけ」を心がけるようにしています。お土産のお菓子や頼んでいた仕事を受け取ったとき、プリンタの前で印刷物の出力待ちをしているとき、ほんの一言ですが何か言うようにしています。

先日、今まであまり喋ったことがなかった同僚と作業の合間に、子どもや自分のことを話していました。

入った年こそ同じ同期なのですが、家族や仕事のことを話したことがなく、僕にとっては楽しい時間でした。 その会話の中で「育休取ってみてどうでしたか?」と聞かれました。

今まで、そんな風に質問されたことがなかったことに気がついて、少し考えましたが「かなり楽しかったですよ」と答えました。

考えてみると、育休に関しては今まではYESかNOかで答える質問や、何をしてたか、何が大変だったか、と言う視点が多く、概括的に聞かれてハッとしてしまったのです。

どう思うかは個人に任せるべきで、自分の考えを押し付けてしまうようで、回答したくない、というのが正直なところでした。

でも、同僚には取ってほしかったし、見ず知らずのご家族を想えば、職場の仲間として、今後も続いていく仕事人生を有意義にしてほしいという気持ちで、短く強く「かなり楽しい」と答えたのです。

僕は、育休を取るかどうかは一つの過程というか、誤解を恐れずにいえば、寄り道のようなものだと考えています。

いま、男性の育休は「取得」が目的になって議論されているように見えます。取得すれば正解、取得しなければ不正解。というような議論では、冷静に考えることが出来なくなるのではないかと思うのです。

少子化や児童虐待を背景に“早急に”対応せよ、といった社会的要請があることも良くわかりますし、その風潮を存分に受けたのが僕の育休期間でもありました。

僕は教育や子育ての専門家でもありませんし、何かをアドバイスできる経験もほとんどありませんが、男性の育休取得は子育ての類型のひとつに過ぎない、と考えています。

単に、ある期間だけ仕事を休んで育児に振り向ければ良い、という考え方が広まりつつあるのではないかと不安なのです。

そういう価値観だからこそ「とるだけ育休」なんて、酷い造語が生まれるのだと思うのです。実際に、何をすればいいのか分からないといった父親は多いのも良く知っているつもりです。逆説的ですが、育休後のあとの期間も、子育てが続くことにも思いを馳せられるかどうか、それが育休期間なのかも知れません。

いろいろな方に子育ての期間を聞いてみると、長短さまざまです。子育ては、永遠だという方さえいるのです。

我が子たちは5歳と0歳・・先は長いなぁと思いながらも、楽しみでもあります。先ほど、類型について言及しましたが、子育てと仕事の両立はむしろ類型化などできず、家族によって様々な対応をされているようにも思うのです。僕たち家族、というか妻はこの数年で働き方を変えました。

育休を取りたいと思えるような暮らし方、なんて理想というか絵空事かもしれませんが、それを実現するためには、家庭だけの問題でなくて、職場も大きく関わってくると思うのです。だからこそ、社会的問題として提示されているわけです。

さらに、育休だけでなく、男性が子の世話で休みやすいとか、育児の失敗談を笑いあえるとか、そんな男社会もあっていいのではないかと考えています。

そんなことを書いていたら、机の上に家族の写真を置くとか、"家族の見える化"こそ、とても効果があるような気がしてきました。

ふだん、子どもや家族の写真をスマホの待受にもしていないので、正直そんなことをするのは猛烈に恥ずかしい気分ですが、そのぶん説得力はありそうです。それもまた、子育ての"いち類型"なのかも知れません。

同僚と育休の話ができたこと、それが嬉しくて、ふと考えたことも重ねてみたら、また前に進みそうです。

タスク、ましてノルマでもない男性の育休取得、親世代や上司の視点はあるにしても、男性の子育てという視点はもっと必要であるべきです。

#男性育休 #その先

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、僕だけでなく家族で喜びます!