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相談ができないからって
仕事のことを書く時には、やっぱり理想像みたいなことを考えてしまうから、明るく楽しく書いておいて、自分はどうなん、と振り返ってみると自己嫌悪に近い反省をすることがある。
春からの新しい職場は、まだ慣れない。
うっかり4月に新型感染症による離脱はあったけれど、どうもしっくりこない。不慣れ・・と言っていいのは、始まって3ヶ月くらいまでではないか。
こと、難しい判断を強いられることでもなく、複雑な手順を踏まないとならないわけではないのに、なぜ僕はできないのだろう、そんなふうに思い続けて数ヶ月が経つ。
異動してきたのは4月だというのに、8月になってしまったけれど、僕は毎日のように小さなミスを繰り返して、たまに大きなミスをやらかしている。前の職場ではそんなことがなかったこともあって、勝手に「こんなはずでは」感を募らせるけれども、元々の実力がこっち側なのだろうと思ってしまう。
あれもこれも取りこぼしている。
分かっているけれど、手をつけられるのは、その始まりの部分だけ。でもすぐに急ぎの案件が横入りしてきて、順番待ちの列はかき乱され、時間切れになって1日が終わってしまう。
「新しい職場なんだから、もっと残業してもいいよ。」
追い詰められているような表情だったり、言葉の端々に仕事への不安が滲んでいたのだろう。ある日、妻がそう言った。数日前、子どもたちが寝た後で、久しぶりに自分の仕事のことを話した。
ぜんぜん、回ってない。そして職場の人間関係は、良好に見える無関心。僕が何をすべきかは言ってくれるけれど、どうすべきかは分からない。
「この本を読んでみて」
渡してくれのは「相談力」の本だった。読んでみたら、人に聞けない、誰かに迷惑をかけるのは申し訳ない、忙しいのは自分ができないから、そんな風に考えていた自分に気がついた。
僕は、あまり人に聞くのが得意ではない。そして、忙しい人に相談するのも気にすぎて、待ってしまって結局聞けないこともある。自分で調べ、自分で見切り、自分で判断してしまうからこそ、ミスや間違いとなって現れているのかも知れない。
本を読んで、自分の目の前の仕事を気にするのではなく、職場として組織にいる役割について改めて考え直して、どんどん前任者に聞くことを意識した。その日は、前任者あてに電話とメールをどんどんした。
4ヶ月も滞っていた契約案件は、前任者が完璧に書類を作っていてくれたのもあり、整える作業だけで書類が完成した。そのことがとてもありがたくて、前任者にメールで感謝を伝えた。
手続きの内容を確認するために、前任者のその人に電話をしたときに、受話器の向こうでハッと息を呑むような気配を感じ、あまりにも遅い手配だったことを知って、もっと早くに聞いていれば、こんなに不安にさせなかったな・・と反省。でも、前に進めたから良かった。
帰り際、その人からメールが来た。
タイトルには「頑張ってください」とあった。
前任者の人も、初めは何がどうなっているのか、混乱の中で過ごしていたとか。だからこそ、どんどん聞いてくれていいよ、と。
小さな悩みを、大きくなるまで育てたのは僕だし、誰にも聞けないと勝手に思い込んでいたのも僕だった。
頑張ってるのに!なんて思いはなくて、純粋に励まされて嬉しかったから、なんだもっと聞けば良かった・・と自分勝手に、自分を小突いた。
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