図書館はTカードで
出張といっても、あまり遠出のないのが、地方公務員かも知れません。部署によっては、海外や国内への視察や打ち合わせなどで跳び回る場所もあるかも知れませんが、一般的にはずっと庁舎内にいて仕事をしているイメージがあると思います。
僕も、そんな風に思っていましたが、若手職員を対象にした研修制度の中に、年間を通じてテーマを研究して、論文にまとめるという研修がありました。
その年のテーマに向けて、組織を横断して職員が集まり、識者に話を聞いたり、先進都市に視察に行ったりするものでした。
視察は、国内だけでなく、海外にも行っているとのことだったので、趣味と実益が兼ねられる!と、いつか応募したいと密かに考えていました。
たまたまそのチャンスが訪れて、論文を書いて応募し、研修に参加できることになりました。テーマは、SNSを用いた広報について・・表現が堅い・・。
当時、画期的な自治体のHP運用がされていた、佐賀県の武雄市に視察にいくことになりました。(今考えれば、ネットの中のことなのでオンライン会議のシステムがもっと使いやすくなっていれば、ネットで完結できたかも知れません。)
時期を同じくして、武雄市には画期的な図書館が開館していました。いわゆるTSUTAYA図書館です。
公的な施設の管理運営を民間業者が行うのは、今では当たり前のことですし、当時としても仕組みは珍しいものではありませんでした。
しかし、TSUTAYAが運営するという珍しさと、さらに図書館内にスタバがあるという、今までの図書館にはなかった展開が、とても目を引くものでした。
視察の合間で、その図書館に向かいました。
外観の新しさやオシャレさにも驚きましたが、入ってみて僕が持っていた図書館のイメージを覆されたような感覚になりました。
それは、大きな本屋のようだったのです。木の香りがする書架は大きな弧を描いて建物内をぐるりと囲んでいました。
図書館カードは誰でも作れるとのことだったので、記念に作りました。カードにはTポイントが貯められるようになっていて、確か図書の貸し出しでも付いていたのではないかと思います。
僕は、そのカードで本は借りたことはありませんでしたが、今でもTカードとして使っています。
当時、とても珍しいと思ったその取り組みも、行政側の意向や住民の希望と、さらに運営している企業の思惑もあって、なかなかうまく進まないこともあるようです。
ほかの自治体でも同じような”TSUTAYA図書館”がありましたが、今はどんなふうになっているでしょうか。
武雄図書館をきっかけに、僕は旅先で図書館に入るのが好きになったようにも思います。本を借りるわけではなくて、そこに暮らしている人たちが使う場所として、どんなふうに作られているのか、図書館はその地域の文化的な目標のような存在にも思えてくるのです。
ちょうど時期も今くらいだったので、宿泊したホテルのそばの庭の紅葉がとても綺麗だったのを思い出します。今度は、家族で温泉に行きたいなぁと想いは募るばかりです。
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