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子どもとまつり

どこからともなく、笛や太鼓の音が聞こえてきて、はじめて聞いたのにどこか懐かしいメロディーと、少しずつ大きくなっていく男たちのかけ声。

暑い夏の入り、地域の祭りを始める「御神輿」の音の記憶が僕にはあります。僕が生まれた頃から住んでいたのは、団地でした。団地は大きくて、その団地だけで町内会がひとつできていました。

お祭りは地域ごと、そんなことを知ったのは小学生の頃でした。時期も違うし、やることも違う、僕の住むあたりには神社はあったけれど、地区が違っていました。

遠くの神社から団地にやってくる御神輿はとてもカッコよかった。キラキラした神輿を見たいと思いつつ、子ども心に、それを担いでいるおじさんたちがどうも怖くて、近寄れませんでした。

だから、御神輿の周りで子どもたちが遊んでいるのを、部屋のベランダから見ているような子どもでした。

どうやら御神輿は、地域を回っていて、いくつかの場所で休んでは、食べたり飲んだりしているようだと気がついたけれど、大人になったらやろうなんて思っていました。

そんな子どもが親になりました。

上の子が地域の祭りに参加することになり、家族で出かけました。日曜日の正午、神社に集まり、子どもたちは太鼓が乗った山車を曳くという役割を果たすため・・。

時節柄、御神輿は軽トラの荷台に乗せて地域を回っていました。あのかけ声もなく、大きな声を出すこともできない、子どもたちの歓声だけが聞こえるような、不思議な行列でした。

よく晴れて暑く、子どもたちは汗をかきながらも、楽しんで歩いていました。子どもたちにとっておじいちゃんくらいの人が威勢がいいと、怖くないのかも知れません。

言葉は荒いけれど、ちゃんと褒めてくれるし、励ましてくれる姿勢に、こういうおじさんになりたいよなぁなんて、ぼんやりした頭で考えてしまいました。

休憩のたびに、ジュースやお茶を飲み、アイスやトマトを食べ、ヤクルトが沢山入った氷桶もありました。ふだんあまりジュースを飲ませていないこともあって、我が家の子は、ここぞとばかりにジュースを飲んでいました。

大人には、ビールがたくさん冷やされていましたが、僕はついてきているだったし、お酒に弱いこともあり、お茶を何度か飲みました。

子どもは学区内ということもあって、何人か友達も会えたようでした。地域のイベントは、そうやって学校の外で友達と会えるから、また楽しかったりするのかも知れません。

高架下、お祭り、図書館、学校、地域にはいろんな方々がいて、その属性に応じて顔が見える気がします。お祭りの時には、お祭り好きの威勢のいいおじさんたち・・みたいに。

どの休憩地点でも大人たちは楽しそうでした。子どもたちも、休むたびにジュースだお菓子だと喜んでいました。

行列が通ると、家々の窓やベランダには人が見えて、こちらを見ていました。地域のお祭りの音、やっぱり気になるし、大勢の子どもたちの声は、なんとなく地域の元気にもつながっているような気がします。

狭いようで広い町内、曳き始めてから2時間経っていました。最後まで回りたいと言っていた子の顔が、真っ赤だったこともあり、途中で帰宅。

本来なら、一日中お祭りをしているのですが、今年は御神輿が回って終わりなのだとか。来年も参加できたらいいなと思うのでした。


#おまつり #町内 #夏 #子ども  

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