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美は細部に宿る (エッセイストのエッセンス#5)


ぞうさん

ふしぎなポケット

一ねんせいになったら

どれも印象的な童謡です。一度ならず、数え切れないほど聞いたり歌ったりした方もいるでしょう。この童謡の歌詞を書いた方の名前も、また印象的。

まど・みちおさんです。詩人としてとても有名ですが、僕は童謡の作詞家と言うイメージでした。100歳を超えてなお創作を続けていたまどさんが、ぽつりぽつりと語るような、そんなエッセイ作品があります。

エッセイストのエッセンス【投稿の目的】
名乗ったからには勉強したいということで、少しずつエッセイを読んだメモ。不定期シリーズ。

詩人まど・みちお 100歳の言葉
どんな小さなものでも みつめていると 宇宙につながっている


詩人の語る言葉だからこそ、詩的とか哲学めいた、やや難解な言葉遣いなのかと思いきや、それは良い意味で裏切られました。彼が作り出した、童謡からも詩からもわかるように、作品に綴られていたのは、ひらがなで書いてあるような、易しくて優しい言葉たちでした。


私は人間の大人ですが、この途方もない宇宙の前では、何も知らない小さな子どもです。そして子どもに遠慮はいりませんから、私は私に不思議でならない物事にはなんにでも無鉄砲に飛びついていって、そこで気がすむまで不思議がるのです。(40p) 

不思議がる、と言う言葉がずっと気になっています。好奇心を持って、何かを問うたり、調べたり、さらに考察すること・・そんな感じでしょうか。

不思議だな・・から始まって、なぜ、どうして、もしかしたら、を繰り返す思考。そういえば、幼い子どもは、それらの言葉を繰り返して使っています。彼にとっての詩作は、彼にとっては自分自身との対話でもあるし、不思議がることの答えのようです。


私たちが「無限」の概念をもつことができる限りは、それ以上に無限なのだと、文字通り無限なのだと、文字通り無限なのだと、信じたいのです。大きい方へも小さい方へもです。(109p)

作中、彼は何度も「宇宙」の存在を口にします。そのくらい壮大な視野がありつつも、目の前の小さな小さなものを見て心を動かされる感性にも正直で、一つ一つのことを真剣に生きてこられたのではないかと、ふと思わされます。

それにしても、”無限”という言葉のすごさ。ゼロの発見だって、無限の発明だって、それは人類にとって「ちっぽけなもの」と言う自己認識をきちんと植え付けるような謙虚な営みなのだと、改めて認識することができました。

「人間だけが横柄に生きていてはいけない」

これが環境問題だとか、世界平和だとかにつながる、とても大切な心構えであり、彼は詩を書くことで、それを伝えようとしているのだと知ることができました。


とおい存在のような詩人でしたが、お住まいが神奈川県の川崎市であったり、一時期、子どもとよく読んでいた「チャイルドブック」を、かつて手がけていたことなど、僕とも近いところにいたことを知りました。


#詩人 #童謡 #不思議がる #発見



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