![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119426626/rectangle_large_type_2_a8392e4fb9d56b6abb2dc5544b02e258.png?width=1200)
Photo by
norikoitou
微糖 #毎週ショートショートnote
紅茶を美味しく淹れるのは、とにかく「水」なんですよ。水がきれいで美味しくないと。
いつも行く焙煎所のおじさんが話してくれた。コーヒーは豆だから、どこでもお店が開けるんですよ、と笑う。
コーヒーは温度だ。豆が良くても、お湯の温度を間違えると渋みや苦味が強く出たり、酸っぱくなることもある。
おじさんは、温度計で湯温を測り、狙った温度でさっと漏斗のようなドリッパーに委ね、ビーカーに落とす。まるで理科の実験だ。
理科キリマンジャロ。・・これは失礼
わたしの心の声が聞こえたのだろうか。ドキドキしながらカップを持ち上げた。温かなコーヒーは、滑らかに舌の上を踊った。ドンとした苦味と、かすかな甘味、鼻を抜けるナッツのような香り。
あの頃は、そんなことも知らずに、娘を喜ばせたくて、茶葉をブレンドしてました。苦手な勉強中、リラックスできて眠くならないお茶、って。
おじさんは苦心の末、紅茶のような香りのする珈琲豆があることを知った。
粗く引いた豆を、低めの温度のお湯で丁寧に落とし、苦味を和らげるため、微かに砂糖を加えた。
数学ダージリンだね、って喜んでくれました。
(470文字)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、子どもたちのおやつ代に充てます。 創作大賞2024への応募作品はこちらから!なにとぞ! https://note.com/monbon/n/n6c2960e1d348