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旅にもつ2020・2019

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旅する日本語2020、2019のために書いたもの。初めてのショートストーリーの創作。
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#兵庫県

運動靴

気散じに、出かけよう! きみがくれたスニーカーの箱に書いてあった。兵庫県で作られた日本製だからって、ちょっと古臭くないかなぁ。きみが履いているのは知ってるよ。 誕生日なのに、仕事でミスをした。久しぶりに、ひどく叱られてしまった。それだけだけど、落ち込んだ。そんな僕の様子を見て、きみがくれたのは新しいスニーカーだった。 歩いてもいいし、走ってもいい。 きみは、走らずにいられなくて、と言って走り出す。颯爽と風を切るきみの姿が、眩しい。 ありがとう。 僕の好きな青と白の

孫対応

うちの息子(4歳)は「す」の発音が苦手だ。舌足らずで「つ」になってしまう。大好きなお寿司も、おつし、になる。 たまに会うじいじ(私の父)は元大工。長年、姫路城の修復に携わり、今も兵庫県の城下に暮している。工作の名人で、息子のよき先生だ。 久しぶりに会いに行った日、息子がひもを両手にじいじにお願いしていた。 「これ、むつんでー。」 「むつんで?むつぶ?あ、"睦ぶ"か!難しい言葉知ってるなぁ」 「あかとあおはいっしょで、しろはながーくして。」 ちょっと違うけど、父はニ