画像1

酔っぱらいのホームレスと伝説のキャバ嬢の奇跡の恋物語。一日前のメリークリスマス(音楽文庫)

Mona Shima
00:00 | 00:00
公開のタイミングを外してしまいましたが、かなり風変わりなクリスマスソングです。もっとも、私にとってはこれが本当のクリスマスソングであるのですが。
私が通っていた中学は、沖縄で一番の飲み屋街のハズレにありました。私の家はちょうど飲み屋街の反対側にあったので、登下校はまさに飲み屋街のど真ん中を通ることになります。
実際、三年間みっちり通りました。夕暮れになると、どこからか湧いてくるように現れる黒服のキャッチのお兄さんたち。きらびやかなドレスを身にまとったキャバクラのお姉さんたち。そして飲んだくれて道端に転がっているホームレスの老人や、自動販売機の釣り銭口に指を入れてまさぐっている中年のオバサン。みんな日常生活の中の当たり前の光景でした。
そんなある日、ふとある光景を目にしました。
それは、私にとって一生忘れることのできない印象的な光景でした。そこからヒントを得て作ったのが、これからお届けする作品です。
今回の第一章はやがて伝説となるキャバクラ嬢とホームレスの奇跡のラブストーリー。神様はいったいいるのかいないのか、いったい人は何のために生きているのか、ホームレスとキャバ嬢の運命は…。


★ introduction  独白

よくある話なんだが、いろんなことがあって、
俺は、自分という奴、そして自分の人生に絶望しちまった。
理由?それはなんていうか…。ああ、もう忘れちまったなぁ。
いいんだ、そういうことはどうだって。
とにかく、俺は自分に絶望した。
それで毎日、俺は、公園で飲んだくれるようになったんだ。
いや、飲んだくれる方が先だったかな?
絶望が先か…、これもどうだっていいさ。

ああ、神さま。
あんたが本当にいるなら教えてほしい。
どうしてこんな俺を、この世界に残しておくのでしょうか?
こんな俺の、生きている意味なんてあるのでしょうか?

どうせ答えは返ってこないけれど、まあいいさ。
明日は、あんたの誕生日、クリスマスイブ。
だけど、自分を痛めつけているばかりの俺に、
明日が来るかどうかわかりゃしない。
だったらせめて祝おうじゃないか。
俺と神さま、俺とあんただけの
一日前のメリークリスマスを。


★ 一日前のメリークリスマス ★

作詞作曲:-mona-

あれはクリスマスイヴの前の晩
俺は夜の公園で一人
安酒をしたたか飲んで
良い機嫌で夜の街へ繰り出したんだ

だけど文無しの俺など
誰も見向きもしない
通りにたむろするキャッチでさえも
みんな無視しやがるんだ

オーメリークリスマス
一日前だけどメリークリスマス
世界で一番早いメりークリスマス
俺ひとりぼっちのメリークリスマス

俺は酒瓶を掲げて
叫んだメリークリスマス
おっさんイブは明日だよ
くたばっちまいなと
キャッチが笑う

そこで俺は酒瓶でそいつの
頭を軽く撫でてやったのさ
ところが何発も殴り返され
気がついたらゴミ捨て場に
転がってたんだ

オーメリークリスマス
ひとりで祝おうメリークリスマス
明日はあるかわからないから
生きていればこそメリークリスマス

ピンクのドレスを着た娘が
俺をのぞきこんでいたんだ
ひどいことするのねと
きれいな涙を俺にこぼしやがる

だから俺は言ってやったのさ
お嬢さん生ゴミなんかに
かまうんじゃないよ
あんたのそのやさしさは
いつか生命とりになるよ

オーメリークリスマス
あの子に幸あれメリークリスマス
神さま、こんな俺に
かわいいプレゼントありがとう

オーメリークリスマス
一日前だけどメリークリスマス
世界で一番早いメりークリスマス
俺とあの子だけのメリークリスマス