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GIRLS' TRANSACTION
"相場は美人投票である"
経済学者ケインズが株式市場の価格形成について例えた有名すぎる言葉だ。
モナとリサはリバタリアンなので、どちらかというとミルトン・フリードマン推しなのだが、「美人投票」の言葉の価値は2人も認めるところだ。
では、取引の対象が人になったとしたら?
それは、実験してみるまでもない。
世の中のほぼ全ての市場は、『需要と供給』という、神の偉大なる手仕事で成り立っている。
GIRLS' TRANSACTION
10時30分
タイムズスクエアにあるNASDAQの表示板のような電光掲示板が、カレッジ内の時計台の下で明滅しながら、生徒たちの値段を映し出していた。
「NO 212.45 ▲23」
「JMC 66.95 ▲11」
「AM 198 ▼6」
マーラーは、学生全員のコールサインと名前、顔を覚えていた。
「NOはネイサン・オニオンズ。1枚100SWOBを超えるブルーチップ銘柄の1つだ。ネイサン
GIRLS' TRANSACTION
2014年8月4日 7時30分
FOUR POINTS BY SHERATON SAN JOSE AIRPORT
HANGER BAR & GRILL
ガラス張りの内観に控えめの照明、おしゃれなインテリアに囲まれた白い椅子が並ぶグリルは、朝6時にオープンしたばかりで、数人の宿泊客がバラバラに座っていた。
マーラーは窓沿いのもっとも奥の席に腰をおろし、ふぅと息をついた。
モナとリサは、コー
GIRLS' TRANSACTION
2014年8月4日 6時00分
サンフランシスコ国際空港の到着ロビーに足を踏み入れたモナとリサに、真夏とは思えないような爽やかな風が吹き付けた。
昇り始めたばかりの朝日が、この街特有の深い霧をオレンジ色に染め上げている。15歳になったばかりの2人の少女は、これからカリフォルニアで全く新しい生活を始めるのである。
2人がアメリカで暮らすことを決めたきっかけは、1週間前に届いた1通のメールだった
小説「GIRLS' TRANSACTION」 作者自己紹介&あらすじ
ご挨拶が遅れました。これから毎週木曜日に、小説「GIRLS' TRANSACTION」を連載していく、Yamada Shuheiと申します。
もっとみる1話完結 小説『アリは欲しがらない』
<概要>
「アリは欲しがらない」は、人類が長い間積み重ねてきた歴史の膨大なエピソードを、多様な種類がいるアリに置き換えたものです。
たとえば、クロアリとシロアリの敵対関係を人種問題に置き換えたり、行軍をしながら全てを食い尽くすグンタイアリを遊牧民族に置き換えたり、資源はあるのに武力を持たないミツツボアリが覇権争いの中で狙われたり…
出て来るエピソードは無限大です。
ストックの関係上、1話完