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大鳥集落の友人たち

山形県鶴岡市内から約1時間。山の奥の奥に、大鳥集落という場所がある。

3年前、一度だけ大鳥に遊びに来たことはあったけれど、その時の記憶はあまり残っておらず、ただ、山の中の澄んだ青々しい空気と、夜の漆黒の闇だけは強烈に残っていた。

地域おこし協力隊として、6年前大鳥集落に来た友人は、3年の任期を終えた後も大鳥に定住し、大鳥集落やその周辺地域の暮らしや昔からの人の営みをフィールドワークし、本にまとめている。ここにはマタギと呼ばれる、狩猟の文化もまだ残っていて、ずっと変わらず山の暮らしをしている人たちがいる。

しかし、毎年誰かが亡くなったり、山を降りたり、限界集落と言われるこの地域に住む人たちは確実に減っている。

それでも、友人たちのようにこの地に住み始めた若い人たちが、ここ数年でも何人か居て、それはきっと、この集落にとって本当に大きなことなんだろうなぁ、と心から嬉しく思った。

日本各地に、そんな集落がいくつもあるんだろうなぁ。

どんどんいろんなことが便利になっていく世の中で、都市部と比べると、様々なことが不便な山奥にある集落で暮らすことは、簡単ではない。

でも、友人たちの暮らしを見ていると、「豊かさ」とは、なんだろうなぁ。と改めて考えさせられる。

水道から出てくる澄んだ山の水。山で採れた食材。近くの畑でとれた野菜。夜の静けさ。いっぱいの星。

狭い集落のなかでの付き合いや12月から4月まで降り続く雪との闘い、熊も出没する危険。

豊かではあるけれど、その豊かさはそう楽に手に入るものではない。色々な厳しさと闘いながら、手に入れている豊かさでもある。

大鳥に暮らす友人たちを見ていると、あらためて、この人たちはすごいなあ、と心から尊敬する。

そんな友人たちに出会えたことに感謝している。

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