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お疲れ様です。もなきです。転職エージェントをしたり、スタートアップ企業の採用のお手伝いをしたり、採用動画のプロデュースをしたり、YouTube(名もなき転職チャンネル)をしたりしています。

YouTubeで話している内容を文字でもお伝えしている「名もなき転職マガジン」。今回は「ブラック企業の見分け方」について書きたいと思います。

実は、この「ブラック企業の見分け方」というテーマでnoteを書くことは、これまでためらっていました。

なぜかというと「ブラック企業」と言われるような会社だとしても、そこで頑張って働いている人は存在するからなのですね。世間的に「ブラック企業」と言われているとしても、その中で誇りを持って働いていたり、やりがいを感じている人がいるのであれば、外野がとやかく言う必要はない、と考えています。

ですが、これから転職をする上で「意図せずに自身の求める働き方や価値観と異なるブラック企業を選んでしまって、身体的にも精神的にもダメージを負ってしまい短期離職につながってしまう人を1人でも減らしたい」と思ったので、今回のnoteを書こうと思いました。

あえて「ブラック企業」の要素があることを分かった上で入社を選択するのであればいいのですが、意図せずに入社をしまうと、とても不幸な結末になってしまうんですね。

なので、今回のnoteでは

・転職を考えているが「ブラック企業」への転職は避けたい
・「ブラック企業」を見分けるポイントを知りたい

そんな方はこのnoteを最後まで見ていただければ、僕がこれまで多くの会社や求職者の方から話を聞いてきたり求人を実際に見てきた中で考えるポイントが分かりますので、是非ご覧ください。

▼動画や音声で試聴される方はこちら▼

【1】ブラック企業の定義

まず「ブラック企業」の見分け方を伝える前に、そもそも「ブラック企業」とは何なのかの前提を合わせておきましょう。

実は、意外に思うかもしれませんが「ブラック企業」という言葉に、明確な定義はありません。一応、厚労省が発表している資料によると、「ブラック企業」の一般的な特徴としては以下です。

①労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
②賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
③このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

このように言われています。

シンプルに言ってしまうと「従業員の幸せを考えずに会社や経営者の利益のみを考えてしまう、法令遵守の意識が低い身勝手な会社」という感じですかね。

ただ、繰り返しになりますが「ブラック企業」に明確な定義や基準はないのです。もちろん、明らかな法律違反はダメですが、結局は「会社に何を求めるか」による部分が大きいんですね。

例えば、僕は1社目がリクルートでしたが、在籍時はかなり長時間労働をしていました。自分の仕事が遅かったこともありますが、純粋に業務量やプレッシャーが多かったというのもあります。ですが、それを「ブラック企業」だなんて感じたことはありませんでした。

そこで得られる経験や知識が、自分の中では今後の糧になるし、忙しくても楽しく充実してやっていたからですね。逆に、いつも定時で帰れるプレッシャーの殆どない会社に1社目から勤めていたら、成長感も感じられず逆に苦しんでいたかもしれないです。

つまり「自分はどんな環境で働くのがハッピーなのか」という個別性のある価値観に左右されるので、明確に「ブラック企業=悪」みたいには言いづらいのが事実です。

しかし、大事なのは、転職において「意図していない環境に入社してしまい、苦しんでしまうのは避けるべき」ということです。先ほど挙げたような「ブラック企業」の特徴を持つ会社に行きたいと思わないのであれば、それを避ける「選球眼」を持つべきなんですね。

では、どのように「ブラック企業」を見定めればいいでしょうか。大きく分けて「応募する前に分かること」「面接で分かること」の2つの観点でお伝えしたいと思います。

【2】ブラック企業の見分け方<応募する前>編

「ブラック企業」の見分け方、まずは<応募する前>編です。ここでは特に、求人情報をどう見るかと言う話を軸に話したいと思います。

求人情報は、リクナビネクストやdodaのような求人広告の情報もあれば、転職エージェントから共有される求人票もあります。

ここで注意すべきは、以下の4つです。

①抽象的な言葉や表現が多い
②給与が低すぎる・高すぎる
③応募条件がゆるい
④いつも求人広告を掲載している

順を追ってみていきます。

①抽象的な言葉や表現が多い

これはよく言われる話かと思いますが、あまりにも求人の中に抽象的な言葉や表現が多いと要注意です。抽象的な表現とは、簡単に言うと「受け取る側の解釈次第で何通りもありえる」表現を使っているパターンですね。

例えば、

成長、夢、感動、努力、根性、熱意、やる気、やりがい、楽しい職場、若くても抜擢、アットホーム(家族的)、実力主義

などでしょうか。

もちろん、これらのワードを使っている=ブラック企業、というわけではありません。ですが、抽象的な表現を多用しているのは何でなのだろうか?ということを考えましょう。多くの場合、他にアピールできる実績や長所、数字で語れるような訴求ポイントがない場合ということが多いです。

あとは、仕事の名称もよくわからない横文字の造語を使っている場合も、横文字に流されずにきちんと仕事内容を読みましょう。

コンサルティングセールス=営業
アミューズメントスタッフ=パチスロの店員
将来の幹部候補=若手ターゲットの総合職

とかだったりします。

なにやらよくわからない仕事の名称に踊らされるのではなく、あくまでその仕事内容は何なのかを細かく見ることが大事です。

②給与が低すぎる・高すぎる

次に、給与が低すぎる、または高すぎる場合も要注意です。そもそも、その会社の事業モデルを理解できれば、社員の報酬としてどれくらい出してもビジネスが成り立つのかは想像できます。

例えば、材料が必要な有形商材を扱っているメーカーと、ITの無形サービスを扱っている会社であれば、(もちろん単価や商材にもよりますが)基本的には後者のIT企業の方が原価が少ない分、利益率は高く、給与水準も高くなるはずです。

他には、人が営業などで動かないと売り上げが生まれない労働集約型のビジネスと、仕組みを作ってしまえばあとは売り上げが生まれていくビジネス(例えばAmazonや課金型のオンラインゲームなど)とは、そもそも利益の生み出し方が異なるわけです。

これは別に「利益率が高い会社を選べ」みたいなことを言いたいわけではなくて、そもそも事業の構造を理解した時に、適正な給与水準かどうかを見極める目が必要ということですね。

例えば、以前に転職のご支援をした方で、弊社経由と他社経由で1社ずつ内定を取られた方がいました。

弊社経由では、SaaSのインサイドセールスのポジションで内定が出て給与は前職並みの450万でした。一方、他社経由では、太陽光発電のビジネスをやっている会社の営業で、年収は700万でした。

別に太陽光ビジネスが全て悪いとは思わないのですが、よくよく調べてみると、700万の年収のうち、かなりの比率がインセンティブで、結果を出せなかった場合は300万円台に落ち込んでしまう可能性もあることが分かりました。これは、転職する方の転職理由が「給与UPのみ」で、どんなに厳しい環境だとしても絶対に成果を出すという自信と気概があれば太陽光ビジネスの700万円の方でもよかったのかもですが、本来の転職理由に改めて立ち返り、その方は年収スライドのSaaSのインサイドセールスを選択しました。

まとめると、給与が不自然なほどに安すぎる、または高すぎる場合には、そもそもどういう給与の構造になっているのかをきちんと把握した上で判断することが大事ということです。

③応募条件がゆるい

応募条件がゆるすぎる求人にも要注意です。「未経験歓迎」って言葉、一見響きはいいですよね。業界や職種の経験がなくても、キャリアチェンジできるんだ!育成体制がしっかりしているのかな!って思っちゃいがちです。ですが、これもよく吟味した方がいいです。実際に「人であれば誰でもよい」くらいの、誰でも採用しちゃうような会社が世の中にはあります。

ある種、雇用の受け皿にはなっているので、その会社の存在を否定するつもりはないのですが、なぜ誰でも採用していくのかの裏側を考えてみましょう。

言うまでもないですが、どんどん人が辞めているからです。

労働集約型のビジネスであれば、辞めて行っても一定の人数は必要。つまり、兵隊を雇い入れるためにどんどん採用しているんです。悪徳な転職エージェントの中には、転職活動の前半部分で転職難易度が高い会社をたくさん受けさせて不合格を量産した上で、後半部分でこのような会社を受けさせて内定を獲得させ、良い気分、達成感を持たせた上で意思決定させるところもあるので注意が必要です。

④いつも求人広告を掲載している

最後は「いつも求人広告を掲載している」です。特に、大型の求人広告枠でいつも掲載しているところは要注意ですね。

リクナビネクストやマイナビ転職のような前課金型の求人広告は、その求人広告からの応募で何名採用できても値段は変わりません。

つまり、150万円の求人を掲載をして、そこで2人採用できただけであれば1人あたりの採用単価は150万➗2人=75万円ですが、5人採用できたら150万➗5人=30万円です。転職エージェント経由だと年収×30〜35%なので1人採用で100〜150万かかっていたとしても、求人広告経由であれば採用単価をかなり安くできる可能性があるわけなんですね。

先程の、とりあえず大量に採用して一定数辞めてもOKくらいの使い捨てで考えている会社は、この求人広告を多用してきます。しかも、大型の求人広告枠だと目立つ形で掲載ができるので、先程の1人あたり採用単価30万円っていうのも決して無理な数字じゃないのです。なので、年間の採用予算の中でかなりの金額を求人広告に投下して採用を進めていきます。

もちろん、本当に事業拡大で人を増やしていくために求人広告をフル活用している会社もあるのでそこの見極めは必要ですが、だとしてもいつも求人広告を出し続けているというのはかなり疑ってみた方がよいと思います。

求人情報以外だと、例えば「クチコミ」を見てみるという方法もあるかと思います。クチコミは、比率としてはどうしてもその会社を辞めた社員の記載が多くはなっているので、ネガティブな情報も多くなってしまうのですが、全てを鵜呑みにするわけではなく、一つの情報源として捉えるくらいであれば見てみた方が良いと思います。

あとは、東洋経済さんが出されている「就職四季報」を見てみるというのもありです。ここには「3年後離職率」や「平均勤続年数」などが掲載されています。本屋さんで買うと2,000円くらいですが、大きめの図書館などであればお金を払わずに見ることもできるので、お時間あるときに自分が受けようと思っている会社や、類似する業界のデータを見てみるのも良いかと思います.

【3】ブラック企業の見分け方<面接>編

次に、ブラック企業の見分け方<面接>編です。応募段階での調べでは、特にブラック企業の要素は当てはまらなかったが、面接の場面でそれが分かることも多くあります。ポイントは以下の4つです。

①面接に出てくるのが社長や役員のみ
②面接時間が短すぎる
③面接官の態度が悪い
④労働条件や離職率の質問に答えたがらない

①面接に出てくるのが社長や役員のみ

これは、シンプルに「現場社員には語らせたくないことがあり、それを隠すため」という可能性があります。一見すると、役員以上の幹部層が面接に出てきて、スピーディーに採用の判断をしてくれるのは、自分に期待してくれているからかな、というように気持ちよく見えちゃったりもします。

ですが、入社後に常にその役員クラスと一緒に仕事をするポジションならまだしも、多くの場合はそうではないので、自分が一緒に働くことになるレイヤーの人たちとの接点の場を作るようにしましょう。それを謎に断られてしまったり、言いくるめようとされてしまったら黄色信号ですね。。

②面接時間が短すぎる

本来であれば、入社後のミスマッチを無くすためにも、面接の時間は双方の見極めのためにきちんと時間を取る必要があります。ですが、ブラック企業は社員を使い捨ての道具、兵隊と見ていることもあるので、面接時間が極端に短く、形式的で、速攻で終わってしまうこともあります。

たまに、5分くらいの面接時間でも、自身のジャッジポイントをきちんと判断して見極めることができると豪語する面接官はいます。これは、NGの判断をすることは最初の5分ではあり得たとしても、本当に採用するかどうかのジャッジを5分で決める、というのはさすがに難しいですよね。

一緒に働く仲間となるかの判断なので、どんなに忙しくても30分は設けてほしいところです。

③面接官の態度が悪い

これはもう言語道断ですが、面接官が威圧的だったり、横柄だったらかなり気をつけた方がいいですね。

候補者もお客様です。自社のサービスの今後の顧客になってくれる可能性もあるし、面接での印象が会社としてのブランドを下げてしまう可能性だってあります。にもかかわらず、それを考慮せずに失礼な態度を取る会社は、入社後も自社の利益を優先で無理難題を押し付けてきたり、過酷な労働条件になってしまうことも多いです。

④労働条件や離職率の質問に答えたがらない

ブラック企業では労働時間や労働条件、離職率についての質問は極力答えたくありません。なので、答えることを渋ったり、プラスに聞こえる部分を切り取って話すようにする傾向があります。

離職率についてであれば、例えば新卒1年目社員と2年目社員は半数以上辞めてしまっているという事実があったとしても、たまたま少人数採用だった新卒3年目社員は比較的残っているというところをうまく切り取って「早期退職の節目と呼ばれる新卒3年目の社員は、(5人中4人は残っているので)定着率が80%ですね」みたいな言い回しをしたりします。

これは、ブラック企業の人にとってはテンプレートみたいに用意されているので、単純に言われた情報を鵜呑みにするのではなく、他の年度の入社社員はどうだったのかなども聞くことをお勧めします。

【4】まとめの話

いかがでしたでしょうか。本日は「ブラック企業の見分け方」をお伝えしました。

冒頭でもお伝えしたように、ブラック企業というのは定義が曖昧で、法律を犯しているのは論外ですが、それ以外の部分は、結局は個々人がブラック企業と感じるかどうか、という俗人的なものなのです。

とはいえ、「意図していない環境に入社してしまい、苦しんでしまうのは避けるべき」なので、「ブラック企業」の特徴を持つ会社を見分ける選球眼を持つべきという話をしました。

一番大事なのは、あなたの身体です。身体が資本です。肉体や精神がやられてしまうと、その後のキャリア構築にブレーキがかかってしまいます。

もちろん「ブラック企業だったらどうしよう、、、」そんな心配をし過ぎて、一歩目を踏み出せなくてなってしまうと転職活動も進まなくなってしまいます。完璧な会社なんてほぼないですし、仮にあったとしてもあなたが受かるとは限りません。

大事なのは、自分なりの選球眼、つまり、企業を見極める軸をしっかりと持つことです。自分が転職を考えたきっかけや転職する理由、転職先選びの軸、これらをしっかりと整理して言語化した上で、応募する企業を選定する眼を持っていきましょう。何かの参考になれば幸いです。


今後も、このnote(名もなき転職マガジン)では、転職やキャリアにまつわる話を発信していきたいと思います。ぜひnoteやマガジンをフォローください。尚、今回の内容は以下の動画でも見ることができますので、よろしければぜひ高評価とチャンネル登録お願いしますm(_ _)m

▼今回のnoteの内容について話した動画

それでは、みなさん。GW明けも頑張りましょう。

もなき

サポート金を元手にその方とランチに行きたいです(都内のみ)つまり、500円が1,000円のランチに化けます。