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「潰れる転職エージェント」と「生き残る転職エージェント」

お疲れ様です。もなきです。
転職エージェントをしたり、スタートアップ企業の採用のお手伝いをしたり、採用動画のプロデュースをしたり、YouTubeをしたりしています。

今日は「転職エージェントは儲かるのか?」について書こうと思います。

僕は転職エージェントの仕事もしているのですが、求職者の方は

・過去に転職のお手伝いをした方からのご紹介
・知人や友人(から相談を受けたら)
・YouTubeやTwitterやnoteを見てご連絡をしてくださった方

のみを担当しています。 ※新規は月に5人限定

幸いなことに、YouTubeをやり始めてから、これまでよりも「初めまして」の方からご連絡やご相談を受けることが増えました。

※余談ですが、DMで特に自己紹介や質問の背景説明もなく連絡してくる方もいるのは悩んでいます。まあ、返信はするんですが、SNSとはいえマナーは欲しいですね(愚痴)。

で、本題の「転職エージェントは儲かるのか」なんですが、結論としては
「量に走らなければちゃんと儲かります」
ここについて、今日は説明します。

◆転職エージェントのビジネス構造

転職エージェントのビジネスの構造はわりと知られてきています。転職の斡旋をした方が無事に入社されると、その方の年収の30%~35%をフィーとしていただけます。500万の年収の方であれば、175万(税抜き)の売上ですね。

ただ、内定が承諾され、売上見込みがたっても、入社が3ヶ月後とすると、入金は4ヶ月後(入社日の翌月末支払いが多い)ってことも普通にあったりします。わりと、資金サイクルを安定させるのが難しいビジネスです。

では、売上発生にいたるまでに何が必要なコスト(費用)になってくるかというと、

・集客費用
・人件費
・設備コスト(オフィス、携帯、ネット回線等)

です。色々なビジネスがある中では、比較的シンプルですね。
「人件費」と「設備コスト」は分かりやすいので割愛します。

「集客費用」は何かというと、WEB広告や電車広告などでプロモーションをしている会社はその費用です。電車のドアの窓上を見ると、リクルートエージェント、doda、マイナビ転職エージェント、@type、MSジャパン…様々な広告が貼ってありますね(最近、電車に乗ってないので近況は分かりませんが)

マスプロモーションをしていない主に中小の転職エージェントは何で集客しているかと言うと、自社で集客メディアを運営していない限りは、外部のデータベース(DB)から候補者を探しにいく動きをとっている会社が多いです。ビズリーチやオープンワーク、リクナビやマイナビや日経など、さまざまなDBがあります。

このDBを使うことで、チャージ金額(利用料)が一定かかったり、さらにそのDBから接点を持った候補者様が転職成立した場合は、フィーの金額の30%をこのDBを運営している会社に支払います。
※フィーが175万だとしたら52.5万円をDBに払うことになります。

まあそれを引いても100万近くいくとなると「儲かるんだろうな」と思っちゃいますよね…

ですが、そんな単純な話ではないんです。

◆1件の転職決定が大変

まず、外部のデータベース(DB)は、スカウトがたくさん打たれているので、エージェントからのスカウトアプローチはかなり効きづらくなっています。

新しい媒体ならまだしも、昔ながらのDBだと返信率が1%なんてところも少なくありません。なので、100通送ってやっと1通の人と接点が持てる計算です。

さらに、そこから面談をして、求人を紹介して、面接につないで、内定が出て、承諾してもらうとなると、どんだけスカウトをして集めなきゃならないんだ、、、となります。

また、DBに登録している求職者の方は「必ずしも転職する」というわけではないです。情報収集目的の人もいれば、ざっくばらんにキャリア相談に乗ってもらいたい人もいます。

ですが、転職エージェントは自分が担当したことになった求職者に、なんとか応募してもらおうと思います。そうすると、求職者の話を聞くよりも、自分が目当てとする求人に誘導しようとしたり、ひどい場合は、勝手に(同意を得ずに)レジュメを企業に送って推薦したりする。そして、書類通過したときだけ事後報告する(●●っていう会社に相談したら興味持ってくれていたんですが一度お会いされませんか?みたいな)ことが起こります。

会社運営である以上、ちゃんと在籍している転職エージェントが成果を出さなくてはならないため、多くの会社は「KPIマネジメント」に走ります。月間のスカウト数や返信数、面談数や求人紹介数、応募数や面接設定数など、マイクロマネジメントがされていきます。結果、上長を納得させるためにも、その会社の論理に従って成果を出すためにも「量に走る」ことになってしまうのです…。

言わずもがなですが、量に走って成果が出る時代ではありません。

ここ最近は、コロナの影響もあって未経験募集の求人が減ってきたことにより、未経験若手層を大量に「未経験歓迎」求人にマッチングという名の横流ししていた転職エージェントが、業績不振になってきているそうです。

残念ながらその転職エージェントは、求職者の話をきちんとヒアリングして、転職理由に寄り添って考え、今後やりたい事を踏まえた上で求人の提案をする、ということに慣れていません。なので、今のような状況になってくると、途端に人材紹介ビジネスができなくなってしまいます。結果、売上が出せなくなって、会社の業績が下降し、解雇される方もこれから出てくると思います。

「とりあえず儲かるから」「おいしい商売だから」と転職エージェント事業を始めた人達が淘汰されていく時代が、もうそこまで来ています。

◆転職エージェントの個人ブランディング化

もちろん僕は、転職エージェントが失業したり倒産していくのを楽しむような、性格がねじれた人ではないです(多分)

ただ、一つ言えるのは「直近までの転職エージェント業界が異常」だったんです。

本当は今みたいに、ちゃんと伸びていく成長企業が求人を厳選して出して、その企業に対してちゃんと人が介在して価値を発揮したマッチングができる転職エージェントが残るべきなんです。

なので、酷な言い方をすると「健全な新陳代謝」が生まれているのが今です。

東京では、このnoteを書いている2020年7月22日現在、コロナの感染者が中々収まらず、GoToキャンペーンが東京は対象外になるなど、まだまだ影響を受けている産業は多くあります。また、大規模なリストラや倒産などは、もう少し後から波が来るという予測もあります。

そんな中で求人募集を出している積極採用企業は、もはやどの転職エージェントから受けることも可能ですし、直接応募でも可能です。

例えば、すごい好きなラーメンのチェーン店があったとしたら、店主や店員と顔なじみで、気心がしれていて、ちょっと雑談もできる店舗にお金を落としたいですよね。

実は、転職エージェントの世界も、それに近くなってきているのではないかと思います。

つまり、受ける求人はある程度決まっていたら、誰経由で受けるか(誰にお金を落とすキッカケを作るか)を、ヒト(転職エージェント)で決めるという、ことです。

もちろん、直接応募して受かるならそれでもいいと思います。

でも、レジュメや面接の対策、自身の志向性や経験の整理などの目的で、信頼できる転職エージェントを使う人はまだまだ一定数いるかと思います。

そうなった時、「どの転職エージェントを使いたいですか?」という問いに、ちゃんと名指ししてもらえるような転職エージェントは、今後もちゃんと仕事を得ることができるし、今回の本題でもありますが「儲かる」と思います。

今に始まった話ではないですが、転職エージェントも「個人ブランディング」が今後ますます重要になってきますね。

今回のnoteを読んで「とりあえず儲かりそう」と安易に転職エージェントを始める事業者が増えないことを願ってます。


今後もこのnote(名もなき転職マガジン)では、転職やキャリアにまつわる話を発信していきたいと思います。尚、このnoteで配信している情報は、YouTubeで先んじて配信しています。週に2回くらいの更新(月曜と木曜の夜)ですが、ぜひそちらもチャンネル登録いただけると嬉しいです。

▼今回のnoteの内容について話した動画

それでは、お疲れ様でした!

サポート金を元手にその方とランチに行きたいです(都内のみ)つまり、500円が1,000円のランチに化けます。