明けぬ夜でも

私には、好きな曲が沢山ある。

もとより、好みのアーティストはいてもこだわりは無いため、ジャンルの偏りはあれど様々なアーティストの曲を聴く方……だとは思う。

それでも、一度曲にハマると当分はその曲だけを聴き続けるので大体一週間くらいで飽きてしまう。
そしてまた新しい曲を探し、その曲を聴き、使い捨てる。

そんな私にも、いつ聴いても心が落ち着くような、それでいて鼓舞されるような「マイ応援ソング」のようなものがある。

米津玄師さんのリビングデッド・ユースだ。

この曲は、確か好きなゲームのファンが描いた手描き動画に使われていて知った。(2次創作のオタク特有の流れ)

終始軽快なリズムで進んでいくこの曲は、
「さあ 目を閉じたまま歩き疲れた この廃墟をまたどこへ行こう」
という、なんとも詰んだ感満載の歌詞から始まる。

サビまでこんな感じで散々な目が続き、サビでも「エスオーエスの向こうに救命はない」なんて言われる。あんまりだ。

大体の曲なら「大丈夫」だとか、「僕が助けに行くから」とかそんな歌詞が書いてあるんじゃないか……?

でもそんなサビの最後に、私の一番好きなフレーズがある。

遊ぼうぜ 明けぬ夜でも火を焚いて今、そんな そんな歌を歌う

出だしからこんな酷い目に遭わせておいて(?)、遊ぼうぜとか言っておきながら明けぬ夜だなんて絶望の塊みたいなワードをぶちこんでおいて、

火焚いて歌っちゃうなんてめっちゃ楽しそうじゃん?

って思うわけですよ。

誰かヒーローみたいな人が助けてくれるわけでもなく、何か根本的な問題が解決するわけでもなく、とりあえず火を焚いて歌っちゃう。

終始一人。
孤独。

それでもなんだか、キャンプファイヤーのような、炎で焼き芋やらマシュマロやらを温めて食らうような、安心感のような、一種のお祭り騒ぎのようなその歌詞に、チープな言葉で言うと「前向きになれる」気がする。

これが「明けぬ夜など無いと信じて」とかそんな歌詞だったら多分刺さらなかった。

米津さんのこの曲の歌詞は、特にこちらに語りかけてくるようなものではないのだけれど、それがマラソン大会のような、個々それぞれ自分のペースで走って、何かと向き合っていける感じがして好きだ。

さて、そろそろ会社に着きます。
今年最後の仕事が始まります。
頑張ろうか


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