一人は楽

 一人は楽だ。
 相手が居ないから迷惑をかけることもないし、好き放題考えられる。
 不特定多数へ一方通行に投げつけるのも楽だ。
 その情報を受け取るかどうかの責任も丸投げできるから。

 あぁ、でもやっぱりここだ。相手が、仲間が、先生が必要な段階がどうしようもなく怖い。
 ただ雑談するだけなら余裕だ。
 だけど俺がしたいのは、議論だ。

「これはどう思う?」
「何か問題発生するかな」
「共感得ずらいかな」
「何から始めよう」

 そんな話が出来る相手が欲しい。
 でも居ない。作ろうとしない。

 怖いんだ、相手の負担にならないか。
 だって議論するためにはここまでの65記事を読んで理解して欲しいし、そもそもTRPGについてもある程度以上に詳しくあって欲しい。
 常識が違い過ぎるんだ。普通の人とスムーズに議論をするには。
 ぶっ飛んだ常識を是認している人間がTRPGの使い方の新規開拓をしようとしているなんて、誰に相談出来るのか。

 いや、多分本当は、本音を言うと心当たりは居るんだ。
 きっと今俺が相談すべき相手はまさしく"大人"だ。
 TRPGを長く遊んできた、今ではもう管理職についているような歴戦の"大人"達。そして不登校の子を持つ親御さんたち。
 でも無名の現在進行形無職が、金も積めないのに時間を割いてもらえるのか?

 もしかしたらそれ以外にも、ちゃんとアンテナを立てていれば話を出来る人が居るのかもしれない。
 きっとそれは悩んだ末に俺と同様に、また違った答えを得た人たちで。でもそんな人を見て頑張っているのを見て、未だに俺は咄嗟に否定することでガードしようとする。
 これは自覚がある。自分はほぼ独力で考え抜いて辿り着いた凄ぇ奴なんだぞと言いたいから、それを揺るがす存在を認めたくないのだ。
 弱いな、浅ましいなと思うけど、でもこれもまた仕方ないんだよ。
 だってまだ自分の行動に確信を持てていないのだから。

 もうすぐ、もうすぐなんだ。
 もう多分、片手は地表に這い出ている。掌で地面をペタペタ叩いているころあいだと思う。
 だけどまだ頭は地中、当然地に足は立てていない。
 予想はしていたけど、やっぱりお前が立ちはだかるか。期待という感情の喪失!
 もう少しなのに、第一のボスが立ちはだかっている。

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