ニートとインターン

 こんなのがあったので試してみようという話だ。

状況説明と今の感情

 不安だ。恐怖が大きい。
 詳しくは上記リンクを見て欲しいが、まぁ分かりやすく転職支援サービスの一つだ。
 特徴として29歳以下のフリーターや無職をターゲットとし、インターン期間を介することで就職への不安を和らげようとしているところが挙げられる。

 これを書いているのが10/18(火)時点で、10/22(土)にオンライン説明会の予約を入れた、という段階だ。
 試すと書いたが、現時点での見込みは「説明会だけで終わる」が7割、「インターンをやってみる」3割、「正社員として就職する」0ではない、といった感じだ。

 まぁこれだけ書いても「じゃあ何で参加するんだよ」と思われそうなので、まずは参加動機から書いていく。

国のニート対策を体験するのが主目的

 前述の通り、この体験を通して自分が正社員になれるとも思っていないし、なろうとも然程思っていない。
 俺が今働いていない、働けない理由は

「よくやるべきことを後回しにした挙句逃げてしまう。そんな自分を制御できない」
「自分が真に納得し興味があることを、気分でやろうと思った時くらいにしか、具体的な行動出来ない」

 というのが理由だ。
 勿論、多分暫くは制御出来る。
 だが次第に、1カ月か、或いは早ければ一週間もしないうちに耐えられなくなって逃げ始めてしまう。

 それを聞いて読んだ人はどう思っただろう。
 「甘えてる」「社会人として欠陥品」「まさにニート」
 そんな風に思ったのではないか。そしてそれを俺には一切否定できない。
 どう言い繕うと、俺が社会不適合者なのは否みようがない。

 だがそうやって自分を責め続けるのは辛いので、意図的に責任転嫁をすることでなんとか生き永らえているのが現状だ。即ち、

「ここまで失敗体験が重なり臆病になったり、未来に希望を持てず労働が人間性をすり減らすだけのものと見える恐怖の対象となったのは社会のせいだ」
「故に俺だけが悪いわけではない。そして自分はもう精一杯なので、社会保障の方がサポートを考えるべきだ」

 みたいなことを自分に、そしてnoteを通じて社会に言い聞かせ続けることで、なんとか自分の無能さから目を逸らす日々である。

 さて、そんな俺の事情を踏まえた上で今回の事業を見てみよう。
 正しく国(正確には都)が支援する俺たちニート向けのサポートと言えるだろう。
 なにせある種ネガティブな信頼のあるパソナがやっている事業だ。公的要素が大きく、YouTubeに広告を打てるだけの規模の事業だ。
 国や都の若者の労働問題へのアプローチへの代表例として捉えるには丁度いいものと言える。
 俺は常々「ちゃんとサポートしろよ」とか宣っている。そんな俺が参加資格を持ち、現実的なハードル(時間や金)も下げられている物を目にして、試さないのはあまりにも情けないだろう。

 普段からいちゃもん付けている物が目の前に現れたので、まずはそれを体験してみよう。
 そんな不純な敵情視察にも似た動機が、主目的だ。

警戒心と不信感

 改めてこうして文字に起こすと、本当にふざけた奴だなと思うね。

「税金使ってサポートしてやるって言っているのに敵情視察とか、何様のつもりだ。四の五の言わずに働け。我慢するのが労働だ。甘えるな。」

 そんな声が聞こえてくるようである。
 ただまぁ良い訳をさせて欲しい。
 ここまで屁理屈を捏ねないと参加出来ないくらい、ニートや引きこもりは、少なくとも俺は、公的なものへの警戒心と不信感を強く植え付けられているのだ。

 ハロワに行けばなおざりな対応で出涸らしみたいな求人を並べられ
 メンタルに問題があると言えば、足りない部分をサポートするから働けと言われ
 生活保護を申請しようとしたらあぁだこうだ決めつけて何とか支給させないようにネチネチ言われ
 心に傷を負って迷えば不良品みたいに扱われ
 社会からはゴミみたいなものとして見られ
 それ故に自分自身でもゴミみたいなものとして扱い続け
 美男美女がキラキラした笑顔で働くポスターに急かされ
 何十年経ってまだ「当事者へ情報が行き届くよう対策を考える」とか言ってて

 働かない奴はクソで、働いて税金を納めてやっと人権が認められるんだぞと厄介者扱いをされ続けてきた。
 どうなんだろうな。確かに誰にも貢献せずにただ飯を喰らっているのは良い状態ではないのは同意する。
 それでもやっぱり、本人の感性が真っ当だから、悲惨な周囲の環境や社会や未来の展望に絶望するってことは多いんじゃないの?
 真っ当な感性で絶望することより、目を曇らせて盲目的に働くことの方が肯定されるのか?
 真っ当な感性で、澄んだ瞳で充実した労働をって言うかもしれないが、それが相応に難易度の高い、少なくともヒキニートが一足飛びに辿り着ける境地で無い事は誰だって想像がつくだろう。
 なのにいつまでも厄介者扱いをされ、されたくなかったら働けと条件付きの肯定を示され続ける。
 どうしてそれで信用出来ようか。

 どうせまた「社会人として当然」「甘えるな」みたいな言葉を吐かれ、一人前の規格品(社会人)でないと「人材」として見られないのではないか。
 今までもそうだったように、こんな世の中に失望し気力を失った自分達の感性の方を否定されるのではないか。
 全体の一割程度とはいえ、ひきこもりやニートも対象にした事業で、それでもまだ尚未だに軽視されるのではないか。

 手を放し目を離すと、すぐにそんな警戒心と不信感が湧いてくる。
 冷たく、高い圧力で凝り固められた不信感を宥めて参加を決意するには、これほどの理由付けが必要なのである。
 どうせ望む職なんて得られない。それでもまぁ体験してみるメリットの方が大きいかな、なんて自分を説得しないと予約のボタンをクリック出来ないのだ。

メリット・デメリット

 まぁ実際感情を抜きにしたらメリットは多いのだ。

 就職したいと思えて、尚且つ欲しいと思ってくれる会社に出会えるが、低くても可能性も0ではない。
 今自分が描いている構想において、実際政府や都がどういった対策を取っているのか肌で体験しておくことのメリットは結構大きい。
 このnoteやニー株の動画とかで発信すれば、多分需要はそれなりに高い。
 公的な立場の人が、当事者に接するキャリコンの人たちが、採用担当の人たちが、どんな温度感でニートを見るかを知れる。
 俺のこの不信感がどの程度受け入れてもらえるのか知れる。
 俺がどれくらい肉体的体力が衰弱しているか知れる。
 俺がどれくらい精神的なタフさを獲得しているか知れる。
 俺の凝り固まった思い込みが氷解する可能性もある。

 いずれにせよ、引きこもって熟成させ過ぎた思想が時代遅れになっている可能性が十二分に有るのだ。
 一度外気に晒して現場の空気を更新させる必要は確実にある。
 メリットは大きいことは分かっている。

 だからこそ己に対して言い訳をし続けて宥めすかさなければならない。
 この巨大な警戒心と不信感を押し込めなければならない。

次回に続く

 そんなわけで、今のところこの体験はnoteに記録しようと思う。
 というか色々思う所は出てくるだろうからnoteに書かずにはいられないだろう。
 多分ニー株の動画でも撮る。

 ただまぁ、正直期待感はほぼ無い。
 なにせこの事業は9割が「既に働くこと自体には抵抗の少ない人が正社員にランクアップする」ことを目的としたものだ。
 そもそもヒキニートはメインターゲットではないのである。
 そんなもんだ。ヒキニートの価値なんて。

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