引きこもりが引きこもりたる所以

※一般化してるように書いてますが、自分の体験から皆もそうなんじゃないかな、という予想です。アンケートとかの裏付けとかも無いので悪しからず。

 30手前の引きこもり。
 夜中までずっとゲームをして働きもせず、朝に寝て夕方に起き、生活保護の受給で生きながらえながら
「俺には夢がある。おかしいのは社会のほうだ」
 とか大真面目に言ってる社会不適合者。

 学生時代の自分がこんな人物を見たら何を思っただろうか。
 まぁ底辺クズだって思っただろうな。色々事情はあるんだろうけども、クズだ、って。
 だって、今も自分に対してはそう思ってる。
 他の似た事情の人にはかなり見る目が変わったとは思うけどね。

 引きこもりといっても、別に自分に甘いわけじゃないんだよ。むしろ自分に厳しい人のほうが多いんじゃないかな。
 ダメな自分を責めて、責めて、責めて。
 せめて早起きしようとか、せめて挨拶をしようとか、そんな小さなステップを自分に課してそれすら出来ない自分をまた否定する。

 当たり前に見える世界は、沢山の必要条件の上に成り立っている。
 時間や約束の厳守。円滑なコミュニケーション。ストレスコントロール、アンガーマネジメント、体調管理。
 一人前の企業戦士になるために学校で叩き込まれるそれらが当たり前に出来てこそ、「社会人として当然のこと」が出来るようになる。
 どれか一つでも欠けたら社会不適合者なんだ。
 学校という工場で出た不良品なんだよ。
 まぁ今は俺は社会不適合=クズとは思わなくなったけど。

 もう三月も半ばだけど、引きこもってるとつい半月前に年が明けた感覚なんだよ。
 最後に退職してから一年半経つけど、まだ一年弱くらいの感覚なんだよ。
 ゲームしたり、動画みたり、寝たり。
 現実逃避を続けて現実とは違う時間軸にいくうちに、時間をスキップできるかが引きこもりになる人とならない人の大きな差なんじゃないかな。

 誰しも辛いことがあったり、落ち込み挫折し絶望して、日常生活を普通に生きられなくなるタイミングってあると思う。
 でも現実に、それは周囲の環境だったりお金の問題だったりするだろうけど、追い立てられて現実に戻ることを強いられるのが、普通なんだと思う。
 勿論だけど、引きこもりにもそのタイミングってあるんだよ。
 でも死ぬことが出来ずに苦しんで、現実を生きていない間に取り返しのつかないところまで来てしまって、親兄弟や行政が面倒見ないと飢え死ぬところまで来る。
 多くの人が「このままだと生きていけなくなる」と現実に向き直るタイミングは、現実を生きず重圧と嫌悪の世界でうずくまっている当事者にとっては反って現実的な問題じゃないんだよね。
 その目線は内側を向いていて目の前の部屋の壁すら見ていない。だから今日のご飯のことも空腹で動けなくなるまで考えないし、そんな状態で明日や未来のことなんて考えられるわけがない。

 じゃあ何がそこまで引きこもりを現実から引き剝がすのかというと、多分自己嫌悪じゃないかな。少なくとも自分はそうだった。
 この感覚って普通の人にどれくらい分かるのか分からないんだけど、延々と続く自己嫌悪ってとてつもなくエネルギーを奪うのよ。
 敢えてゲーム的に解説してみようか。
 普通の人の最大MPが100で、一時間10MPずつ回復していく。一時間の食事休憩で30回復して、寝たら80回復する。
 その上で仕事するのに一時間あたり20~30MP使って(自然回復と差し引き10~20)、ゲームとか趣味の時間でも何か能動的なことするのには5MP使う、みたいな感じ。
 こんな設定で考えてみた場合、自己嫌悪(重症)というバッドステータスの効果はこんな感じだ。

BS:自己嫌悪
 常時-20MP(1時間あたり。休憩効果無効。最大MP-50。時間あたりのMP回復量-5(=自然回復量5MP/h)。
 この効果はゲームなどによって現実逃避をしている間、「常時20MP(1時間あたり」の効果を無効化出来る。

 自分を責めるという行為で-10MPの消費。それによるダメージで更に-10MP。合計して-20MP/h。
「また何もせずベッドに寝転んでいる俺はクズだ……」
 休憩=何も現実逃避の手段が無いタイミングは常に上の自分への攻撃が発生している。
「気の休まる時間なんて無い」
 そしてそもそも、永遠に気が晴れることもなく、運動不足で肉体的にも衰え、何より自己肯定感が底をついてることで最大値自体と回復量が減ってる。
「頑張って何になるの。どうにもならない。どうせ俺は」

 ただ「意識がある」というだけで何をしなくても精神がガリガリ削られていく日々。そこから目を背けるために、現実逃避するためにゲームや動画を見る。
 不毛ですよね。でももう制御出来なかったんですよ。
 そうやって生きることに、いや、死んでいないことに必死に耐えるため現実逃避をするうちに平気で半年一年経つというのが、私の経験です。

 最初にも断っているように、勿論これはあくまで私の経験からの分析で必ずしも一般化できることでは無いです。
 そもそも引きこもりという状態に行き着く経緯や理由は十人十色千差万別。違うよって人も幾らでもいるだろうし、これを読んだところで何の役にも立たないかもしれない。
 ただ、多くのケースでそれなりに共通していると思っているのは、
「ただ『死んでいない』という状態を維持するだけで仕事しているのと同等以上に精神が削られて行っている。それを避けるために現実逃避をしていた結果、現実の問題が現実問題じゃなくなり、気が付いたら色々手遅れになる」
 という点かなと思います。
 ただまぁ、アンケート取ったわけでもないのでやっぱり信ぴょう性は薄いかもです。

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