10年経っても高校生

  最近、よく学生時代の夢を見る。
 というより、夢の中で自分がまだ高校生だと思ってることが多い。
 自分がまだ「普通」の人間でいられていて、そのレールの上(しかも多分かなり良い方の)にいられた時代。
 そのはずなのに、夢の中では今と同じように普通から外れ、焦っている。

 なんでいつも学生時代の夢なのだろうと考えてみたけれど、多分学生時代であることに意味はないのだと思う。
 単純に記憶が無いのだ。大学入学以降の記憶が。
 大学時代、友達が居ないわけではなかった。演劇サークルに入ってワイワイやってたし、他校の演劇を見に行って交流したり、初めての彼女(笑)が出来たり、バイトを3年くらいずっとやってたり。
 外から見れば普通の大学生だったと思う。
 ただなんというか、別に引きこもってはいなかったのだが、やはりその精神状況は今と殆ど変わらなかったよな、とも思うのだ。
 夜遅くまでバイトをし、それから帰ってきてからまたゲームをし、朝方に寝て昼過ぎに起きる生活。旧帝大に入っておきながら授業に行かず単位を落とし続ける生活。それに対する罪悪感、焦り、自己嫌悪、失望。
 そのあたりの後ろめたさと、TRPGという俺にとっては上位互換なものを見つけたことで、サークルは逃げるように自然消滅してしまった。
 バイトやらなんやら外に出てても、表現しづらいが防護服かモビルスーツを着て活動している感じなのだ。
 分厚い外面で全身を外界に晒さず、生身はずっと部屋の中。
 体が外に出ようと、環境が変わろうと、引っ越しをしようと。
 心はずっと、カーテンを閉め切った部屋のベッドの上かモニターの前にしかいないのだ。
 だから、自分の記憶が無い。
 その間の記憶と、アニメの内容が同列のものに感じる。
 他人の記憶に感じる。
 だから夢に出てくる時の俺はいつも高校生なのではないのだろうか。
 成長が高校で停まっている。
 状態として引きこもりになったのはここ数年だけど、多分十年くらい内面は変わっていないのだろう。

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