見出し画像

実行力

橋下徹 著

ビジョンを描いて終わりでは無い。「どう実行するか」こそが重要だとわかる一冊です。理想を言うだけで、「実行する必要が無い」テレビのコメンテーター・評論家らしき人たちが、如何に現場を分かっていない机上の空論を言っているのかが、切に伝わりました(笑)

ビジョンを描き、実行できる人が、実際に物事を変えられる人なのでしょう。大阪の変革を如何に行ってきたかが、リアリティを伴って伝わりました。

自分の主張と180度異なる、反対意見の人を腹心にする。自分の出した結論に最後は従ってもらう。

反対意見を徹底的に聞くことで、議論が深まり、実行にあたっての課題が見えてくる。ただしここで重要なのは、意見は徹底的に聞くが、最終的に出した結論には従ってもらうことを約束すること。でないと、物事が前に進まない。

「右か左か分からない」案件は「割り箸役」になって決める。

誰もが決められない問題というのは、逆に言えばどちらになっても大差が無いということ。正しい解を見つけ出すことよりも、まずは決断する ことが重要だと割り切る。決断をして責任を取ることの方が重要。そのために自分の軸を決めて、それを周りにある程度知ってもらうことが必要になる。とにかく「決める」ということが、物事を前に動かすには重要なんですね。

リーダーの仕事は部下をやる気にさせること

チャレンジをして良いよ!と口だけでいくら言っても、部下は動かない。本当にチェレンジをして欲しければ、自らチャレンジの幅を部下に示すこと。そうすると部下は自然とチャレンジしてくれるようになる。本書では、大阪城(大阪には、皇居のような存在と捉える方もいる)でレッドブルのモトクロス大会を実施した事例も紹介されていました。トップが自ら、メガトン級のインパクトを与えて、「ここまでやっていいんだ!」と最初に示すことが重要だったそうです。確かに、上司がそこまでやるならやっていいんだ!って思うよな。。

優れたビジョンは具体的で簡潔

優れたトップの方針は、「それがあるからこそ組織が動くことができる」ものであること。つらつらと何枚も書くのではなく、A4の紙1枚でまとめられるくらい簡潔に。例えば、トランプ元大統領は政権時代に6,000項目ほどの規制緩和をしたらしいです。でもただ規制を減らせと言っても、役人たちは動かない。(彼らにとってトランプさんは外様でもあるし)そこで彼が出した方針は「一個の規制を作ったら、二個の規制を減らせ」というもの。明確な数字を出して、組織が動ける方針にしている。すごい。

ビジョンがあっても「実行プラン」がなければ、何も動かない

ビジョンと実行プランは常にワンセットのものである という考え方です。悪い例がイギリスのEU脱退を巡る「ブレグジット」の国民投票。EU脱退と決断された際の実行プランが練られないまま、国民投票でEU脱退に対して、「YESかNOか」だけを先に決めてしまった。脱退することだけが決まり、その後の動き方が議論されていないため、問題点が噴出し大混乱を招いている。メディアは実行プランのことを考えずに、すぐに「YESかNOかはっきりしろ」というみたいです(笑)

「トップの視界」を想像しながら仕事をする

トップは比較優位で物事を捉えている。そもそも、自分の視界とトップの視界は違う ということを肝に銘じた方が良いですね。ここに書かれていたのは一つの案を持ってきてメリット・デメリットを説明されても、優位性が分からない ということ。一案でなくその対極にある案、そして中間の案を持ってきてそれぞれのメリット・デメリットを比較できるようにすれば、判断しやすくなる ということ。「比較優位」の思考がなければ、一案に対するデメリットばかりに目がいってしまい、判断ができなくなってしまう。メディアはこの「比較優位」の思考がマジで無かったみたい。大阪都構想を番組で取り上げる際も、反対派の人が挙げる問題点ばかりを取り上げて、時間が終わってしまうことが多かったようで。

今回のコロナ禍においても、こういう「比較優位」な視点ってめちゃめちゃ欠けてると思う。「緊急事態宣言 YES or NO」「自粛 YES or NO」みたいなポジショントークばかりな気がする。本来は、それぞれのメリット・デメリットを平等に取り上げ、比較するべきですよ。ネガティブ意見の方が取り上げやすく、記憶に残りやすいから、メディアって目先の報道ばかりにとらわれているんだなと実感した一年でもあった。そんなことにも気づかされました。


とまぁ、記憶に残ったところを一部抜粋して書いた感じです。大阪府知事・大阪市長時代を中心に事例が紹介されていますが、普段のビジネスやマインドにも十分すぎるくらい活用できることが詰まっている一冊のような気がしました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?