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自分の中で生きている自分を取り戻すために〜日記療法のすすめ〜

先日、うつ病の人が書いた漫画で

「日記療法」という言葉が

あることを知った。



うつ病だった時期、

自分でも自発的にやっていて、

薬よりも何よりも

「気持ちを文字にする」ことと

「睡眠」がよく効いたから

うつ病の人や、生きづらくて苦しい人に勧めたい。



その日あったことじゃなくて、

自分の気持ちが片付けられない時に

気持ちのヒダに沿った言葉を探して文字にしていくという

自己治療だったから、

正確にいうと日記じゃないんだけど。



私は子どもの頃、自分を生きていなかった。



思春期に差し掛かる頃から

自分の中で乖離現象が起き始めていて

どうにかしないと破綻する、

という恐怖に怯えていた。




「自分を生きてない」というのは

親の顔色を伺ったり

その場にいる大人に評価されるために

本心でもないことを言ったり、

つまり「他人の評価が基準」で

自分がどう感じるか、

自分がどう考えるかなどは押し殺していた

ということ。



10歳の頃、小学校の校庭の朝礼台の前で

いきなり世界がオレンジ色に変色した。

そして、

「いつまでこんな人生が続くんだろう」と

絶望した。



14歳の頃、

このままじゃ大人になる前に死んじゃうかもしれないな

という予感で自傷行為がはじまった。



でも、同時に、「文字に書こう」と決意した。



何がイヤだったのか

どんなことをされたのか。

自分がその時、どんな気持ちだったのかを、

せめて自分だけが見るノートには、

きちんと書いてあげようと思ったのだ。



でも、書けない。

書けないのだ。



私は、一般的にいう

虐待をされていたわけじゃない。



ただ、

「成果主義的な社会と家庭内の雰囲気の中で

仮面をかぶってやり過ごすことで

なんとかその場を生き延びていて、

子どもの頃は柔軟性があるのでなんとかなったが

大人になるにつれて自我が肥大化し、

それまでの生き方が

自分を痛めつけていく刃になっていった」

ということだと思う。



それを富田富士也さんは

「虐待は愛から起こる」という本で「虐待」と

定義していたけれど。



とにかく、自己崩壊を防ぐために

振り返り日記を書き始めた。



最初は、ものすごく筆が遅かった。



「親戚の誰々っていうおじさんに

こんなこと言われるのがイヤだった」とか



そんな事実を書くだけで

ものすごく周りくどい書き方しか

できなかったのを覚えている。



文字に起こすってことは、

何かを決定づけるってことだ。

何かを断定するってことにもなるし

何かを排除するってことでもある。



私しか見ないノートでさえも

「もしかしたら自分が悪いのかもしれないし

こんな気持ちになることすら

私が間違っているのかもしれなけれど」

みたいな断り文句を書いていて

「こういう状況で、こんなふうに侮辱されて

こんなふうに思って、イヤだった」みたいな

シンプルな書き方ができなかった。



今、ここに書いていて思った。

自分の感情を、奪い去られること自体、

虐待なのかもしれない。



私は運よく、大人になってから何年もかけて

自分の本当の気持ちを表現できるようになって

全幅の信頼を寄せられる人と結婚して

親友と言える友人もできたけど

これは、

「自分の感情を隠して隠して生きてこざるを得なかった」

時期が長ければ長いほど

回復には時間がかかるだろう。



私は、自分の感情を自分で殺しながら成長しつつも

その危機感を感じて知らないうちにガス抜きをしていた。



それが、日記や絵を描くことだったんだ。

だから、失ったものが大きかった割に

返すべきツケはそれほど大きくなかった。



借金だけをして生きていたのではなく、

借金をしながら、返済もしていた、みたいな。



今、息苦しい思いをしている人に

「日記を書いてみて」と言いたい。

メモでもいい。

文字にできれば、癒される。



私の親友は、親からの長年による虐待のせいで

いまだに文字に起こせない。


ようやく話せるようになってきたけど、

それは、彼女の弛まない努力の賜物。

自分で心理学を学び、

カウンセラーとして活動していてもなを、

自分の言葉を掴み損ねている。



とても、歯痒くて、とても、苦しい。

でも、待つしかない。



これは、待つしかない。

でも、回復する手立てはあるから。



自分で自分を失ったと思っている人がいたら、

「日記療法」を進めたい。

大丈夫、必ずあなたは、あなたの中で生きているよ。



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山登りもおすすめ。自然は、誰のことも差別しないし、拒絶もしないから。


































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