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死にがい

タイトルに惹かれて、手に取った一冊
「死にがいを求めて生きているの」を読んで。

朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』


朝井さんが最後の特別付録で述べているように、
平成は「対立」を排除した変わりに、
「自分らしさ」「個性」を持つことの大切さが言われるようになった。
ナンバーワンじゃなくて、オンリーワンでいい
ということは、良いようで、新たな不安や対立が生まれているように感じる。

本作のなかでも、
自分が生きている価値を見出そうとしたり、
同級生や周りを見返したいという想いが強すぎて、
自分を見失う登場人物の姿が
自分にも重なるところがあるなと思った。

SNSが発達した現代、どうしても他人と比べてしまうのは仕方がないし、
それ自体が悪いわけではないけど、
自分自身や周りの人を傷つけないようにすることが大切だと感じる。

「自分の存在価値を誰かに見せびらかすでもなく、誰かから愛されるでもなく、自分で自分を否定しなくてもいい状況に身を置くことが大切なのだ」(p.325)

「自分を認める」ことで、
周りと比較して自分の存在を確かめるのでなく、周りとの繋がりのなかに自分を見つけることができるのかなと思う。

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