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猫柳のモフモフ

ネコヤナギの季節になると思い出すことがある。

小さい頃の私はひとり遊びが大好きで、他人との会話も脳内で完結させてしまうような内向的な子だった。今よりもずっと冷静で、何かあってもギャーギャー騒ぎ立てるようなこともしなかった。

小学生の頃、ネコヤナギの花穂で遊ぶのがマイブームだった時期があった。あのモフモフした感触がたまらなく好きで、近所でなるべく形の良い、(自分にとって)適当な大きさのモフモフを探しては眺めたり触ったりしていた。

ある日、授業中にモフモフで鼻の頭をなでていたところ、事件発生。モフモフがスポン!と左の鼻の穴にインしたのだ。その日、収穫したモフモフは鼻の穴にぴったりのサイズで、指で取り出すことは困難な状況だった。

すぐに脳内会議が始まった。細かい内容は覚えていないが、ある結論に達した私はすっと手を挙げ、「お手洗いに行ってもよろしいでしょうか」と先生から許可をもらい、トイレへ。

洗面所で自分の顔を見る。とても冷静で、すました顔。その顔のまま、右の鼻に指を当てて思い切りフン!

スコーン!

モフモフは私の左の鼻の穴から勢いよく飛び出し、洗面台にワンバウンドして床に転がった。それを拾い、ゴミ箱に捨て、手を洗い、何事もなかったかのように教室に戻った。

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今年もそろそろネコヤナギの季節。形が良くて、適当な大きさのモフモフを探してみようかな。そして、鼻の頭をなでてみようかな。。。

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