戸隠山登山
2019年5月中旬に戸隠山に登ってきました。
戸隠山は天照大御神が隠れていた天岩戸を、ちょっと開いた隙に放り投げた岩山だそうです。だから戸隠なんですね。ちなみに引きこもっていたのは宮崎県とされているので長野県までざっと800キロの、室伏もビックリの大遠投です。
忍者の里としても有名で登山口にある戸隠神社にはなんとさりげなく手裏剣がそっと置いてあったりします。にくい演出ですね。
登山口~八方睨
戸隠山を知らない方のために一見してどんな山かわかる写真を登山口で撮ったのでこちらをどうぞ。
要はそこそこ上級者向きの山なんです。
序盤は新緑爽やかな木々の中を進みますが直に大きな岩壁が出てきます。そして5月の戸隠は残雪たっぷり。さて次の写真、どう進むかわかりますか?
しばらく、どう進んでいいかわからなかった。。。
正解はこちら
それでも前半戦のアイゼン必須箇所はここだけでした。前半戦はね。。。
いきなりの雪に戸惑う様子。。。
五十軒長屋、百軒長屋とオーバーハングした岩壁を越えて西窟の少し手前、登山ルートでは岩壁に意味深に鎖がぶらさがっています。見上げると岩の狭間にちょっとした小屋のようなものがあるじゃありませんか。
ザックを置いて5メートルほどほぼ垂直の崖を登ります。
崖の窪みにある小屋。鳥取の投入堂のミニ版ですね。あんな崖を木材担いで登った人にはリスペクトしかない。
ここを過ぎた辺りから一気にクサリ場が増えてきます。
鎖場は楽しいので何度出てきても嬉しいし、どこもちょっと違って飽きない!
そしてついに戸隠山のハイライト、蟻の塔渡りです。
蟻の塔渡り、幅約50センチの両側切り立った崖になっている言ってみれば塀の上みたいな箇所です。カイジの鉄骨渡りのイメージですかね。
メチャメチャ怖かったんですが、その恐怖、写真じゃなかなか伝えられないですね。。。
この写真をどう撮ったのかは後述します。
どうでもいい話ですが、昭文社の山と高原地図では蟻の戸渡りと書かれています。NHK‐BSの某番組でも蟻の戸渡りと紹介されたみたいですね。
ここを渡り切って岩場を越えたら八方睨みに到着します。八方睨みはその名の通り、尾根に登ることで八方がよく見える箇所です。ちなみにここまで2時間40分。地図のコースタイムは2時間20分なのでまあまあのタイムですね。
さっきの蟻の塔渡りの写真とこの写真ですが、これまで同行者のH氏と貸し切り状態だったんですが、なんと八方睨みに先行者がいたんですね。
ヒヤヒヤしながら蟻の塔渡りにしがみついていた時に天から声が聞こえたんです。
「おーーーーーいっ」と。
こちらのお二人です。
長野駅から始発のバスで来たときはいなかったので、奥社近くで前泊していたか車で来てるんでしょうね。
長野駅近辺に泊まって飲み歩いてた俺とは心構えが違いますね。。。
さて、そんな先行者から話を聞いてみて曰く。
俺は西岳(戸隠連峰最高峰)にアタックしたんだけど死にそうになったから引き返してきた。
俺は牧場に抜けよう(我々と同じコース)と思ったけど残雪が多く諦めた。崩れたら死ぬ。
2人ともここから蟻の塔渡りを引き返すかたちで戻ると言うじゃありませんか。
狭い岩場ですれ違うのが嫌だから待ってたんですね。。。
「戸隠の山頂までは問題ないです。そこからは自分で判断して下さい」
「まあ、何とかなるんじゃないですか」
「無責任なこと言うなよ。とにかく自分で判断して下さい」
H氏と顔を見合わせましたが、とりあえず山頂までは行こうと先行者と別れました。
ちなみに写真は下山後写真をTwitterにアップしたところ検索してくれて、そこで頂きました。SNS最高ですね。
八方睨み~一不動避難小屋
別れた先行者が言う通り、ではなく、山頂までの行程も残雪ばかりですぐさまアイゼンを装着することに。それでもルートタイムどおり20分ほどで戸隠山頂に到着。とりあえずここで昼食タイム。
ここから九頭龍山頂まではアップダウンの繰り返しつつ、残雪と崖が入り乱れる箇所になりました。
雪と。
崖と。
雪かつ崖と。
見下ろす景色。
奥が戸隠スキー場ですね。濃い緑のラインが参道です。矢印の部分が戸隠神社(奥社)。
九頭龍山頂を越えたらアップダウンは減るものの残雪の繰り返し。鎖場も出てきますが、面倒なのでアイゼン装着したまま越えて行きます。
一不動で尾根を外れて登山道に戻るんだけど、それまでがやたら長く感じましたね。まあ疲れてたんだと思いますけど。そのせいか一不動の避難小屋についても写真を撮るのを忘れてました。まあ鬱蒼としたなかにある小さい小屋なのでフォトジェニックなものじゃありませんが。。。
一不動避難小屋~牧場
ここからは本格的な下山になってきます。
つまりは残雪に傾斜が加わります。
こんな感じ。
さらに雪解け水による沢が度々出てきます。
え、ここ登山道ですかって感じですね。
そしてまた崖。
帯岩と呼ばれる箇所なんですが、写真でわかりますでしょうか。ここを横断するんですが、肝心の真ん中だけクサリがないんです。あとから知りましたけど冬の時期だとクサリがあることで雪崩が起きやすいらしいです。そんな傾斜のところを。。。
怖いって声に出しながら渡り切ったら今度は滝です。
そうしてグッと標高を下げていくとだんだん獣臭がしてきます。
ゴールの牧場が近いのか。それとも熊がいるのか。。。
根っこから倒れている木。
ちなみにこの辺の沢を渡ってる最中、自分の身長以上の直径のある岩を乗り越える際、アイゼンがつっかかってこけました。大岩に膝を強打。めちゃくちゃ痛かった。。。
痛みを伴いながら山林を歩いているとゴールである牧場が近いことを示す牧柵が現れます。
急に開けたところに出るので何だか天国に出てきたような雰囲気もあります。
膝に痛みさえなければ走り回るでしょうね。そのくらいいい気分にさせるエリアです。
ということで牧場についてゴールです。早速売店でビール。
コースタイム6時間のところ6時間40分。休憩を含めたらまずまずの時間でしょうね。
山の面白さがグッと詰まった最高の登山体験でした。
夏場は結構混むんでしょうけど雪の残る時期は難易度ある分すいてるのでさらに最高ですね。経験のある人にはオススメです!
おまけ
今回の収穫品。
上級者しか来ないような山でもこういうものがあるのは残念ですね。もちろん気づかず落とすケースもあるんでしょうけど。
ゴミは持ち帰りましょう!
コースのおさらい
平面と
立体的な絵
奥社~牧場
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