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【読書】くもをさがすを読んで

最近、書店に並んでいる西加奈子さんの「くもをさがす」を手に取ってみた。本の内容として、私も同じような体験をしていたので共感する点が何個もあった。

幸せと恐怖の存在
著者ががんから解き放たれた時に、幸せを100%感じられずにいたとき。
どこかに孤独感があり、幸せな自分が受け入れられないということ。
これは私も最近感じていて、精神的な疾患が落ち着いて来て元気になってきたのに、いつも心配してくれていた皆がいなくなっちゃうのではないかと恐怖を感じることがある。多分、みんなそうで昔の幸せな自分に戻りたいと思うけれど、昔の自分には戻れないのが現実なんだと思う。
新しい現在の幸せの形を見つけるのがいいのでは、と思う。

日本帰国時の母国に対する違和感
日本は狭く、狭いからこその譲る精神があるのだ」という表現が深く共感できた。私は半年だけだが、カナダに留学していたことがある。日本に帰国した時に、家と家との感覚がせまくて家の中でも誰がどこで何をしているのか嫌でも把握しながら生活しなくてはならない状況に嫌気が指したことがある。となりのお家を配慮してカーテンを閉めたりするのもあまり好きではなく、将来は大きな窓のあるお家に住みたいと考える。日本は、ディズニーランドみたいな国だと表現したこともあるくらい。
共感はしたけれど日本に慣れてしまった今は、海外の銃の文化が怖いし、
去年あった外資系IT企業の大量解雇についても怖いなという印象を持っている。自分がどこで住んでいきたいのかっていう問題は、結論が出なくて、結論があってもなかなか思う通りには行かないよなとこの本を読んで、再度考えさせられた。

不幸と幸せは順番にくるもの
この本を読んでいて、著者が日記をつけていたころは、精神的にも肉体的にも大変辛かったと思う。しかし、それを乗り越えて本にしてみた時に大ヒットの本となったのだ。本を執筆する人としては、この上ない幸せであるといえるだろう(実際は、分からない)。だから、やはり落ち込んでいる時は悲しみにどっぷりと浸かってその時をやり過ごす。これが正解なのではないだろうか、私のなかではここ数年で発見したこと・学んだことだ。これからもその精神で生きていきたいなと思う。

この本は、がんの闘病記ではあったものの、読み終わったあとには、ほっこりとした気持ちになる要素があったように思う。使われている言葉も美しかった。


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