【読了】『長襦袢の魅力――着物の下の遊び心、女心』(岩田ちえ子・中村圭子・中川春香編著)
眺めるだけでもうっとり出来る、楽しい本!!
この本は基本的にアンティーク着物がアンティークではなかった時代に焦点を充てているのですが、パッと思い出したのは群ようこの「着物365日」か「きものが欲しい!」に書いてあった「着物が地味な分、襦袢で遊ぶのが好き」という文言と写真でした。
✨一番ときめいた、夏の襦袢と刺繍半襟✨
この、紗のかかったような淡い色合いがたまりません。
普段着物は木綿や紬や銘仙などであったことを考えると、華やかで可愛いこれぞ大正ロマン‼なアンティーク着物というより、渋系の縞や格子がメインだったのだと思います。
(銘仙は可愛いけど!!)
渋系の着物の下に、こんな可愛い襦袢を着ていたのですね。
チャキチャキ元気な普段着物から、ちらっと妖艶な紅絹の赤や華やかな乙女柄がのぞいたら…🧡
完全に秘める気はさらさらない、建前は“秘めた”おしゃれ。
ギャップ萌え、高度テクニック、女子力高め…という言葉で表せそうです。
着物の仕事をしていた亡き祖母が用意してくれた、七五三や十三参り、お正月の着物。
私は自分で着てみようとか、こういう着物が着たい‼という欲もないまま、ただ祖母が敷いてくれた衣裳敷の上にじっと立って着せてもらっていただけでしたが、着物は大好きでした。
肌襦袢の上に着る長襦袢は、地紋は美しいものの無地か、もしくは小さなこけしの総柄などだった記憶です。
自装するようになり、またアンティークに手を出し始めると、色鮮やかで華やかな長襦袢がたくさんあったのだと気づくようになりました。
なんで(地紋は美しいが)無地とか、薄いグラデーションが主流になったのだろう? と考えると、以前1回完結の着付け教室に袋帯を習いに行った時のことを思い出します。
市松文様に桜の長襦袢を持って行ったのですが、いざ長襦袢を着、伊達締めを締め、訪問着を重ねると… 長襦袢の模様が微妙に透けるんです。
そんな薄いペラペラの着物じゃないのに‼
訪問着や色無地では「長襦袢で遊ぶ」ことが難しいのだなと思いました。
織の着物だと、透けて妙な感じになる事はないはず。
礼装には礼装用の長襦袢でなければならず、現代においては着物は普段に着るというよりは、礼装としての着用メインという事を考えると、無地かグラデ、となるのも当然の流れなのかなと、文字通り肌で感じました。
普段着としての着物がレアな今、派手可愛い長襦袢、つややかな紅絹の長襦袢もレアに…
個人的には、当時の女性になりきって実演した写真やレポートがツボでした。
着物を脱いでいく時、私は何でいつもこうとっちらかるんだろう、と思うのですが、これが正常でよかった…
するする、ストン、と落ちていく着物や帯や紐たちが周りに散乱するさまを花にたとえているあたり素敵だなと思いました。
これが、改良帯枕や補正グッズが紛れ込み、美容衿姿だったらお世辞にも妖艶で素敵な感じはしないだろう…
(でも、便利グッズは欲しいという矛盾…‼)
実物のアンティーク長襦袢を手に入れるのは難しくても、読むだけで自分の乙女度がウルウルと潤ってチャージされていくような…感覚(錯覚?)の、ありがたい本でした。
ときめきって大事だと思います。
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