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【読書】『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』読了。子育てもまた同じ

小2むすこ夏休み突入。
幼稚園年長むすめは、先週からすでに夏休みだ。。。
むすこが夏休みに入るまでにどうしても読み終えたい本があった。

それが、
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆(著)
である。

タイトルを見て、この本を手に取ってしまう人は、きっと昔はたくさん本が読めていたけれど、いまは読めてない人ではないだろうか。

私も、その一人だ。

私は、こどものころから読書が大好きだった。特に夢中になって本を読んでいたのは、今から15年ほど前、大学生の時だった。
すでにスマホを皆が皆持つ時代であったけど、スマホをみるより、とにかく本が読みたかった。


思い返せば、私の周りには本を読む仲間がたくさんいた。
そんな仲間と「この小説面白いから読んでみて」
「ここのセリフいいよね」
「続きが気になって早く続きが読みたくなるよ」
などなど、おすすめ小説を紹介しあったり、何冊もおすすめ本を貸し借りしたり。

借りた本を読んで、
「へぇ、あの子は、こんな本が好きなんだ。」
「自分じゃ選ばなかったけど、読んでみたら面白い」
「この作者さんの他の本も読んでみたい」と、
どんどん読書のたのしさにハマっていった。

もちろん、授業もしっかり受けていたしバイトもしていた。それでも、私には本を読む時間があったなー。(遠い目)



話は、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』に戻る。

この本は、働いていると忙しくって本を読む時間がない人に向けた「どうやったら、本を読めるようになるのか」「本を読む時間を作る方法」などといったハウツー本のような単純な本ではなかった。

働きだして、大好きだった本が読めなくなってしまった著者が「労働と読書」の関係や、歴史から「本が読めなくなるのはなぜか」について紐解いていく。

めちゃくちゃ簡単にいうと、本が読めなくなるくらい・趣味を楽しむ時間がないくらい働いている働き方や社会って問題だよね。
人生、ずっと全身全霊で働くのはやめて、みんな半身で働けば「働きながら本が読める社会」に繋がるよね。
といった内容。乱暴な要約で申し訳ない。

働いていて本を読む時間が全くないというわけではない。本を読む時間はあるのに、スマホを見てしまう。
通勤時や夜寝る前の自由時間などを読書に充てればいいのに、SNSやYouTubeをぼうっと眺めてしまう。

本を読む時間がないわけではない。だが、本を読むと知りたい情報以外の【ノイズ】がある。

働いていると、そのノイズを受け止めるキャパがなくなる。そのため、ノイズが除去された知りたい情報だけ得ることしかできなくなる。
といったことが書かれている。


私自身思い当ることがあった。
大学卒業後、正社員として働いていた期間、そういえば本を読んでいない。全く読んでいなかったわけではなく、仕事で必要な勉強の本や自己啓発本、効率的に働くために役立ちそうなハウツー本などは読んでいた。

しかし、大好きだった伊坂幸太郎・奥田英朗・東野圭吾・湊かなえ・などの本が全く読めなくなっていたのだ!
(仕事終わり22時ごろの電車の中で、白目向きながらツムツムをする時間はあったのにね。)

それから、結婚・出産とライフスタイルが大きく変化するにつれて、私は本を読まなくなった。いや、必要な情報が記載されている本しか読めなくなった。

しまいには、引っ越しの際に「どうせ読み返す時間もないし。この本売っちまえー!!」とコレクションしていた、あれだけワクワクドキドキしながら読んだ小説をほとんど売ってしまった。

そして、私の本棚には、自己啓発本・ビジネス書と子育ての本だけが残った。いま増え続けているのも、自己啓発本・ビジネス書と子育て本ばかりだ。

仕事をしていた時の私は
・仕事で成果をだすべきだ
・人の役に立ちたい
・多くの収入を得たい
と意気込んでいた。

母となった私は
・全身全霊で子育てをしなければならない
・子育てに向き合ってこそ良き母である
・こどもを賢い子に育て上げなければならない
と意気込んだ。

私の中の【なければならない】が、ノイズ込みの知識を得る余白をなくしてしまっていたのだろう。
それに加えて、私の周りにも同じような情報を得たい仲間が増え、おすすめ本について話せる人がいなくなった。
周りの人も読書なんかしてないし、なんだか「趣味は読書です」というのが子育てと向き合ってないと思われそうで、ママ友には言えなかった。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読んで、私は『なぜ子育てをしていると本が読めなくなるのか』を感じたのだった。


『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読了した今、久しぶりに「あ、私本読んでるわ」と思えた。
実は、ここ最近本を読む時間が増えてきたと感じている。それは、我が子がすこーしだけ手がかからなくなり、私に余白ができたからではないだろうか。

とはいうものの、まだ伊坂幸太郎・奥田英朗・東野圭吾・湊かなえの本は読めていない。

ワクワクドキドキしながら本を読める日が来ることを願って、日々すごしていきたいと、本書を読んで思ったのである。






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