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vol.3  ”知らないけど先輩”に対する敬意

こんにちは。
電車に乗っている高校生を見ると、
スマホがあるけど実は中身は昔と変わらないのかもしれないな、
と時々思うことがあります。

例えば
・カバンについている手作りのマスコットを見た時
・とても楽しそうな笑い声で話をしているのを聞いた時
・英単語帳を一生懸命覚えているオーラを感じた時
などです。
あんまり変わってないのかもしれないなって。

夏です。
部活の合宿とか、今もあるんでしょうかね。
この時期にあった、合宿について書こうと思います。


中学校までそういう輝かしい(?)ものと無縁だったので、
高校に入って、「宿泊してまでなにかの活動をする」というのは新鮮でした。

夏の合宿には、すでに引退した先輩が来るのが恒例行事。
たった3ヶ月前までは高校生だったのに、
ある人は就職したり、ある人は地元で学生だったり、
またある人は都会に出て”大学デビュー”していたり。
一年生にとっては、顔も名前も知らない他人の先輩が来る、
っていうのが恒例でした。

先輩たちは、
過去の自分を懐かしみながら、
そして自分たちの同窓会も兼ねて、後輩たちにご飯を作ってくれる、
それがわたしの部の恒例行事でした。

その年は、キャンプ場のようなところで食事をしたのですが、
事件は起きました。
途中から土砂降りの雨。
みんな、軒下にわーっと逃げます。手元にお皿をもって。
せっかくのご飯だけど・・・もったいないな・・・
そう思って。

悲劇はここからでした。
先輩が作った食事を置いて軒下に逃げたこと、
そのせいで鍋やらなにやら、全てが雨まみれになったこと、
それを食べなかったこと、それを現役の最上級生に叱られたのです。

一年生にとっては、正直、誰?って感じの先輩です。
食事はもったいないと思ったけれど、それは食材に対してです。
そして、ものすごい雨が降って自分たちもずぶ濡れで、
大きな鍋を頑張って運ぼう、たとえ自分たちが濡れてでも!
という気の利いた考えは持ち合わせてなかったんですよね。


その後のことは、また別のときに書こうと思いますが、
夏の夕立、突然の土砂降りがあると、
わたしはいつもこのことを思い出します。
夏の合宿なのに、歌のこと、練習のことは一つも覚えていません。


これがよかったか、わるかったか、
そういう話をしたいのではありません。
物事の良し悪しなんて、時代やその人の培ってきた経験等で、
事実は一般化されたり、都合のいいように削除されたり、歪曲されたりするものですしね。


部活の先輩っていうのは、
知らなくても、直接関係してなかったとしても、
やっぱり先輩なんだな、とそのことを思ったんです。
そして、先に在籍していた、先に産まれた、ということが、
敬意を払われる、それが部活なんだな、ということです。


今スマホを見ている高校生も、
もしかしたらそういう状況の中にいるのかもしれない。
なんでなんだろう
とか
なんかおかしくないか?
と思っている人もいるかもしれないけど、
こういうもんなのかな
って思って毎日暑い中頑張っている。それが高校生なんじゃないかなと。

そう思うと、
カバンについている手作りマスコットも愛おしく、
どんな若者も応援したくなってしまうのでした。