♩= 62 (Adagio)

ぜーんぶ、空のせいにできたらいいのに。

からだがだるいことも、9時間寝たのにずっとねむいことも、なんにも頑張れる気がしないことも。

慣れ親しんだ2倍速の授業も、今日の私にとっては速すぎるみたいだった。

1.5倍速、ぎりぎり大丈夫。

相変わらずモデラートに毒を吐き続ける先生は、悪魔のメフィストーによく似ている。

この前のリアクションペーパーに書いたやつ、読み上げられちゃった。私は好きだよ？メフィストー。

そんな私はグレートヒェンだろうって？はいはい。

アンダンテのピアノに縋っていたい。

左手はふたつでいい、右手はてきとうに駆けおりてくれればいい。

そういえば私、階段を降りるようなメロディが好き。

タタタッと、軽快にリズムよく降りてきてくれてもいいし、
フランフランって、気まぐれなステップを踏みながらでもいい。

なんか爽やかな気持ちになる。

それでいて盛り上がれとか元気だせって押し付けがましくない、ただ美しい。から好き。

今聴いてるのもそう、焦らすようにサビで降りてきてくれた。

ゆっくりふらふらと指が動く。黒と白の上で千鳥足。

君は気まぐれだね。

ふるの、ふらないの。

髪結んできたのになあ。

足取りはおもたい。

スニーカーじゃなくて、バレエシューズを履いてくればよかった。Tシャツも白にして。

脳みそに湿ったわたが詰まっているみたいだ。

頭までゆるふわ系のおひめさま、どうでもいいからはやく私をお嫁さんにして。

最近のりんご飴はすごいんだから、もう1回食べに行こうよ。

かわいた喉を最初に癒すのが水ではなく果実の汁だなんて、なんだかとってもロマンチックじゃなくって？

うさぎは76%の確率でゴロゴロしている。

いいなぁ。

一日の24%でも、スヤスヤじゃなくてただのゴロゴロをしていたら怒られるのが、人間っていきものです。

人間みたいに寝返りはうたないから、ゴロゴロじゃないか。

ぼてーーーーーーっ、かな。
顔はなんか、もーーーーーーーって感じ。

いいなぁ。

人前でぼてーーーっともーーーっとしようものなら、どうしたのって心配されるかイラつかれるのが、人間っていきものです。

やさいを食べたらちょっと元気になった気がした。

しょうゆ味が強くてハイボールが飲みたいけど、気分はなんとなく乗らない。

デザートにプリンを食べようとしたのに、忘れる。

もういいや。

ベースを手に取ったけど、今日はなんだか重く感じる。

好きな曲を1回だけ弾いた。

これも階段を降りるフレーズだ。

初めて気づいた。好きなもんは好き。

相変わらず私のゆびは天才。

すべらすやつ、なんだっけ、グリッサンド。これがすごくいい。

人様のワンフレーズ、借りてなぞって密かに楽しむ時くらい、悦に浸らせてくれ。

生産性を求める。

自分自身に、自分の一日に。

音楽、勉強、料理、なんでもいい。

でも全部、そこそこ頑張らなくちゃいけない。

音楽は好き。

でも頑張らなくちゃいけないものになる時は多い。

それが少し悲しかった。

才能がないんだって、そこで思った。

頑張りたくない今日は、最後の砦として文章をかくことにした。

頑張らない文章は読ませるものじゃない。

それでも私がこれを文学と名付ければ、芸術になるんだって。

誰かが言ってたよ。

世界は優しいねぇ。

そして、あなたの優しさが染みるわ。