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この矛盾はどうなるんだ???

非常事態宣言が解除されて約1週間が経過したスペイン。ここバレンシアでは、解除前も後も特に大きな変化はなく、ほぼ通常モードで人々は行動しているように思います。もちろん、外に出ている人々の様子でしか判断できないので、実際のところはもう少し複雑だとは思いますが、少なくとも街の様子は普通に近い状態で、人々の危機感のようなものもあまり感じない、といったところです。

バレンシアの感染者数の累計は現時点で11,537人(PCRのみの数、抗体検査を入れると3,000人くらいプラスされる)、死亡者数は1,432人。バレンシアは他の自治体と比べるとこれでも少ない方なのですが(人口の割合として)、日本全体の死亡者数より多いという現実があります。にも関わらず、人々の行動にビビリのようなものは感じられないのも事実。

ここがマドリードであればまた違う感覚になるのかもしれませんが、人々の感覚としてはほぼほぼ収束してるんじゃない?ということだと思います。そもそもウイルスはどこにいるの?と私でさえ思います。私のまわりはもちろん、まわりの人たちの知り合いレベルでもコロナに感染した人の話は入ってこないし、おそらく多くの人たちも同じ状況にいると思われるので、今ひとつ実感がわかないのも理解ができます。確かに、現状、スペインでの死亡者数の報告は多くても一桁台となっているので、落ち着きを取り戻しているのは事実です。ただ、現在でも毎日100人以上の感染者の報告があり、クラスター発生のニュースもあります。集団発生したアラゴン州のHuescaやカタルーニャ州のLleidaでは、フェーズ2相当の制限に逆戻りしたという報道もあります。

おそらく、日本で100人以上の感染が報告されれば「大変だ!」となるのでしょうが、こちらでは今でも100人以上の感染報告がありながら「そんなもんか」と私ですら思ってしまっている。完全に感覚がマヒしてしまっていますね。ただ、現在の感染者の状況としては、軽症もしくは無症状で若い人が多いということなので、この辺りは日本とも共通している感じがします。こちらでは一応クラスターも把握できているようなので、後は国外からの入国者の状況がどうなっていくか、7月1日からはEU圏外からの入国も受け入れ始めるので(もちろんアメリカやブラジルなどはNG)、今後の状況には注意したいところです。

人々の行動は通常モードに近いとはいえ、以前と決定的に違うのはやはりマスクですね。ソーシャルディスタンスが確保できない場所では、屋内屋外に限らずマスクの着用が義務で罰金も発生するということで、皆さん律儀にマスクをしています。ただ、バレンシアレベルの人通りであれば、屋外でマスクをしなくても全然大丈夫で、警察に呼び止められることもありません。実際、私も屋外で人通りが少なければマスクを外しています(この季節は熱中症の方が怖いから)。逆に屋内では、たとえソーシャルディスタンスが確保できようともマスクなしでは入店できないところがほとんどです(先日、入口で呼び止められている人を目撃しました)。

そんな中、ちょっと矛盾があるな、と思うのは飲食店の状況です。もちろん、お店の人たちはマスク(場合によってはフェイスシールド)をしていますが、お客さんは食事をする手前マスクは外します。バレンシアに限っていうと、店内でもアクリル板の設置をしているところは少なく、着席の間隔も以前と変わりないのが現状で、皆さん普通に食事をし、おしゃべりをしています。私も先日、久しぶりに同僚と食事に出かけたのですが、普通に食事をし、ビールを飲み、おしゃべりをしていました。で、帰ってきてから、「これでよかったんだっけ?」とちょっと考えてしまいました。

もちろん、同僚は皆元気に仕事をしているのでそこに心配はなかったし、他のお客さんのテーブルとの間隔も保たれていましたが(単に客数が少なかっただけなのかどうなのか謎は残るが)、お店の人からしたらちょっと不安ですよね。私自身アパレル店舗で働いており、店員としては慎重になるべきと思っていますが(消毒や距離感等)、とりあえずお客さんは全員マスクを着用しているのでそこまでの不安はありません。でも、飲食業においてはお客さんのマスク着用の義務が物理的に取っ払われてしまうわけで、この矛盾はどうなるんだ?という素朴な疑問を感じてしまったわけです。

幸い、今のところレストランやカフェで感染者が出たというニュースは入ってきていませんし、経済の観点から言っても外食は控えましょう、とは言えないのですが、改めて飲食業に携わる方々の大変さを感じた次第です。客の立場としてできることは、自分の健康状態に気を使うことと、馬鹿騒ぎをしないことぐらいかもしれませんが、働いている方々のことを少し頭に置いておくだけでも効果はあるのかもしれません。


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