【2019年4月】体外受精の妊娠率、AIでたかめられるか

私が通っていたリプロダクション大阪クリニックでは、妊娠率の高い胚を作り出すために、熟練した胚の育成職人が10人以上いたと思う。(話はそれるが私は非閉塞性無精子症という男性不妊だ)
現状では一部の実績ある病院に患者が集まり、ノウハウや熟練職人の勘みたいなものが共有されにくいという問題がある。
ディープラーニングによる特徴量抽出は、がん細胞を見つけるとか、皮膚病を画像から判断するとかが得意だ。
当然、複数の胚の中で一番妊娠率の高い胚をみつけるという作業も、プロフェッショナルの人間レベルの判断を24時間精度を落とすことなく行うことが可能だ。
不妊治療に大きな福音となるニュースだろう。

※以下、記事の要点部分を抜粋

 女性の出産年齢が高まる中、不妊治療の分野にAIを活用する方法を研究している大学やスタートアップ企業がある。それらによれば、AIを使用して最も生存能力のある胚を選ぶことで妊娠確率を高められる可能性がある。エンブリオロジスト(胚培養士)らは、人間の目では見つけられない胚の異常をAIが検知できると考えている。

-----------

 AIアプリで体外受精に最適な胚を選び出すことで、初回サイクルで妊娠する確率を高められるという理論だ。現在は多くの不妊治療クリニックが、妊娠確率を高めるために1回に複数の胚を移植する選択肢を提供している。しかし、多胎児の出産は障害や早産などのさらなるリスクを伴う。

 不妊治療クリニックでは長年、移植する胚の選択を等級システムに依存している。いわば、胚の美人コンテストだ。エンブリオロジストは顕微鏡で胚を観察し、サイズや細胞が健康そうに見えるかどうかに応じてスコアを付ける。しかし、エンブリオロジストの経験値によってスコアが変わる可能性がある。

 「実質的な胚の評価基準はない」。ウェイル・コーネル医科大学で発生学ラボの所長を務めるニキカ・ザニノビチ博士はこう話す。

 胚の評価にいわゆる「タイムラプス観察」を用いているクリニックもある。これは、ラボで胚を培養しながら20分ごとに胚の写真を撮影し、胚が正常に発達しているかどうかを確認していく手法だ。だが、どの胚を移植するかは依然、人間の評価によって決まる。

-----------

 ライフウィスパラーでは選択プロセスを自動化し、人間のバイアスを取り除こうとしている。まずディープラーニング(深層学習。脳の神経細胞の仕組みを大まかに模倣した機械学習の一種)アルゴリズムに何千枚もの画像や胚移植が妊娠という結果につながったかどうかを示すデータを学習させる。アルゴリズムはデータで学んだことをベースに、見たことのない胚画像を見せられたときに、妊娠確率によって理論的に胚を分類できるようになる。

 前出のペルジーニ氏によると、ライフウィスパラーが行った国際的な調査では、ウェブベースのアプリを使用した場合、標準の目視評価と比較して生存能力のある胚を選択する精度が31%向上したことが明らかになった。調査は米国、オーストラリア、マレーシア、ニュージーランドの不妊治療クリニック12施設の患者1600人の画像を使用して行われた。査読は受けていない。

 ペルジーニ氏はAI検査の患者のコストについて具体的な数字は言及しなかったが、「極めて低コスト」になると述べた。同社は現在、オーストラリアで認可を申請中で、米国と欧州でもプログラムの販売・流通許可を取得する計画だという。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?