うちの爺さんの好きなもの2
うちの爺さんの好きなもの
それは「自転車」である。
私が中学生にあがる時、今まで乗っていた子ども用自転車から大人用自転車に買い替えることになった。
自転車好きの爺さんは、そりゃあもう張り切った。
自転車屋さんから大量のパンフレットをもらい、読み込む。そして、パンフレットだらけになった部屋に孫の私を呼び込み、この自転車がいいんじゃないかとプレゼン。
正直、どの自転車がいいとか小学生の私にはわからない。爺さんの言われるがままお墨付き自転車を買ってもらった。
納車日は私より新しい自転車に喜ぶ爺さん。
爺さんイチオシの自転車は長距離の通学にも耐え壊れることなく社会人になってからも使った。ありがとう、爺さん。間違いない自転車だったよ。
そんな爺さん
自転車が好きすぎて、私の友人が我が家に遊びに来ると
友人達の自転車をまじまじ見るのが常であった。「この自転車のメーカーは?」「何インチの自転車だ?」質問攻めにして友人達を困らせる。
ある時、我が家で友人と遊んでいたところ
ふと窓の外を見ると
友人の自転車を試乗している爺さんの姿が。
友人と目を合わせて
「ごめん、おじいちゃん自転車好きで…」
「乗ってもらって光栄だよ…」
謎の優しい返事をくれる友人。
窓から見える友人の自転車を試乗している爺さんの姿はかなりシュールだった。
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