うちの爺さんの好きなもの5
うちの爺さんの好きなもの
それは「スムージー」である。
あら、なんておしゃれ!と思うかもしれない。しかし、爺さんのスムージーブームが恐怖のドリンクを完成させてしまうのである。
うちの爺さんは健康に良いと聞いたものは何でも試すところがある。
「バナナの皮を顔に塗ってパックにするんだ」とバナナ皮を捨てずに取っておいたり
「梅干しの種の中身には栄養がある」
と梅干しの種も捨てずに取っておいたり
とどこで聞いたかわからない健康法も色々試す。そして、毎度ことながら色々な物を溜め込む。
そんな色々な健康法の中から、ある時に選ばれたのが「スムージー」だった。
ミキサーを買いたかっただけかもしれないが、どこで聞いたかわからないスムージー作りを毎朝作ることが爺さんの日課となった。
最初のうちはよかった。
普通の美味しいスムージーだった。
バナナ、牛乳、氷で
「美味しい!」と家族から好評!!
バナナ、りんご、ほうれん草「お通じが良くなった!」と家族から大好評!!
一番真面目に飲んでいたのが母だった。
そんな爺さんのスムージーは身体に良いと言われるものをどんどん、どんどん追加していった。
果物、野菜を追加することでスムージーの量は増え、お通じが良くなるどころか母の体重も増えていった。
ある日、母はいつもの様に爺さんの作ったスムージーを冷蔵庫から取り出して飲むと…
「うっ……!!!!!」
苦しむ母
何が一体あったのか。
日に日に量が増えていったうちの爺さんのスムージーはもう、「美味しい」を「身体にいいもの」が追い越した味になってしまったのだった。
「まずーい。もう一杯」な青汁ならまだ良い。
うちの爺さんは何を、入れて母を苦しめたのか。それは、
「もずく酢」である。
爺さんは身体にいい!とついにもずく酢までも手を出しスムージーに入れたのだった。
「こんなもの飲めないわよ!」と婆さんに怒られ、爺さんのスムージーブームは終了した。
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