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静かに割れた爪を見て、前に進もうと決めた

爪が、割れた。突然のことで気付きもしなかったくらい、静かに割れた。

小学校4年生からコンタクトレンズを愛用し、日々キーボードをカタカタと打つ仕事をしているわたしにとって、爪は短い方が良い。だから、爪が割れるなんて久しぶりのことで、思ったより呆気なかった。

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わたしの爪には、可愛らしいキラキラが付いている。真ん中の指にはストーンを使ってお花も描かれていて、お気に入りだった。

ジェルネイルを自分の意思でしたのは、はじめて。以前ネイルをしたときは、手に何かを持って写真に映ることが多かったから、半分仕方なく爪を綺麗に仕上げてもらった。自分の意思で可愛くした爪はお気に入りで、キーボードを打つ度にチラチラと視界に入るのが、嬉しかった。

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本当は、あまりネイルが好きじゃない。不器用だから自分で塗ることもできないし、ネイルサロンのお姉さんと他愛もない話をするのも、ちょっと苦手。

だけどあの日、普段なかなか褒めてくれなかった彼が、わたしの爪を可愛いといった。女の子は「可愛い」がすべてのエネルギーになっている。「可愛い」のために毎月何万ものお金を洋服や髪の毛、爪や肌に注ぎ込む。そして、わたしもその一種となった。


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