30代未経験でエンジニア転職?の前に考えたいこと

今年の9月末から、TECHCAMP(プログラミングスクール)に通い、11月末に卒業して転職活動開始、そして12月22日、自身の納得できる結果が出た為約3週間の転職活動を終えました。題名の通り、私は異業種(某大手企業で10年間、店長、物流、品質、アウトレット通販等の業務に携わる)から未経験で32歳というスペックでIT業界への転職を目指しました。外部から見ていたIT転職と、実際に活動して見えたリアルな状況というのは少なからずギャップがありましたので、私の思いをここに記します。

私が伝えたいのは、特に30代である程度のキャリアを前職で積んできた人に対して、本当にエンジニアになりたいのですか?ということです。今はコロナでIT業界自体も本当に厳しいです。巷の話では、書類選考の通過率だけ見ても約10%、100件以上応募して1社入れるかどうか?。失敗したら取り返しがつかない、人生を台無しにしかねないリスクを負ってでも、チャレンジする価値ありますか?という信念を問いたいのです。

なぜエンジニアになりたいのですか?これに対する熱意が自身の心の底から湧き上がるようなモノでない限り、恐らく面接官に熱意が伝わることはないでしょうし、妥協した就職活動をして耳障りの良いインフルエンサーや人手不足のブラック企業の甘い罠にハマって後悔する事になるでしょう。エンジニアになる為に企業に入って、何年後にはどのような役割を担い、最終的には何を成し遂げたいのか?それが自信を持って言える人は以下の事は参考程度に読んで頂き、是非チャレンジしてください。

前提・・・私の転職活動の戦績と行った事

私はwantedly、green、TECHCAMP経由で合計28社エントリーしました。その中でカジュアル面談等に行けたのが、12社。それ以外の16社の半分ぐらいは書類選考やプロフィール段階でお祈りとなった形でした。そして、面談、面接に参加した中で、7社は面談の時点で方向性が違ったり、多大な配慮を頂いた事で内定辞退はできないなということで選考を中止。1社のSES会社はカジュアル面談という名の一次面接でまさかの内定となって驚いた事もありました。残りの5社は本気で選考に臨み、結果累計で4社内定(SES1件、SES/受託人事1件、インフラ1件、自社開発1件)を頂き、2次面接等が控えていた企業は入る可能性がなくなったので辞退しました。ちなみに、累計の面接件数は11件受けて落選は1件、面接に対してはかなり成功率が高かったのは意外だったのですが、ここに関してはまた別の記事でアドバイスできることはしたいと思います。今回はあくまでそもそもエンジニアを目指すのが良いことなのか?というポイントに関して書きます。

一見すると、なんやめっちゃ楽勝やんって思われるかもしれませんが、ひとつカラクリとしてお伝えすると、wantedlyで応募した求人に関しては私自身自社開発や受託開発のつもりで応募したものが蓋を開けて見たらSESだったみたいな事が多かったです。純正の自社開発企業は内定もらったところ合わせて4社しか受けておらず、うち1社は内定をいただけましたが残りの3社のうち2社は面談すらできず、1社は初面接だった事もあったのかもしれませんが一次面接で落選、この転職活動唯一の面接落選となりました。自社開発は明らかにハードルが高く、かなり多くの応募があるようで選考に参加することすら順番待ちのような状態。未経験可になっているところは自社開発、受託開発を匂わせておいてSESのパターンが多いので注意が必要です。(私自身、別に自社開発が全てだとは思ってませんが。)

私の活動におけるざっと取組レベルですが、

・PFは作りました。(別にレベル高くないです。TECHCAMP在籍中に1ヶ月ぐらいで、一応一通りのテストコード、AWSでデプロイ+独自ドメインの設定、DockerやCI/CLパイプラインは別実験用アプリで勉強している形にしました)

・Qiitaで週1件約2ヶ月何かしらの記事は書きました

・Twitterで適当に毎日勉強していることをアウトプットしてました

あと、インプットとしてこれは7年前から中島聡さんのメルマガを購読、今回の転職活動中にCodeGridと呼ばれる技術ブログのようなものを登録して勉強してました。他、もくもく会に参加したとか、オンラインサロンに入っているとかそういうのは一切ないです。

30代でエンジニアは様々な面で苦しい

年齢の壁は転職に影響したかどうか?と言われれば、間違いなく影響しました。これは良い意味でも悪い意味でも、です。

良い意味としては、面接でわざわざ伝えなくても転職しようとしている事自体で意欲が伝わる。本当に多くの面接官の方が応援してくれました。例えば、エンジニアとしては厳しいけどビジネスサイドなら・・とか、知人の会社なら30代でも仕事あるかもしれないから確認しましょうか?とか。しかし、これは私が前職で大手企業(一応前職も今や新卒の就職人気ランキングでトップ20位以内に入るようなブランドです)で年収を半分程に減らしてまでという前提があったことが大きいと思います。これが誰も聞いたことがないような企業で学歴もなく、年収も高くない場合はどうなるか全くわかりません。

悪い意味としては、一般的に言われているようなことです。30代だとSESですら売上を確保することが難しい、相当努力が必要だと何社にも言われました。29歳と30歳というだけでももう全然違うと。

そんな前提に加えて私が強く伝えたいのは、30代でもし自社開発とかに入社できたとしても、そこからのキャリアもまた苦しいことです。冷静に考えれば簡単に想像できます。恐らく大半の先輩が年下になることが想定される中、そう言った人たちを技術力で追い抜かすことはほぼ不可能と言っていいでしょう。先輩社員がなんらかの事情で離職したりしない限り、余程努力しないと管理職のポジションが与えられる可能性は無く、しかもPMとかになったところでせいぜい年収700万とかで努力の割りにはあまり待遇の面でも夢がない職種です。当然ながら、業界自体の将来性で言えば他の業界に比べて今より待遇が良くなる可能性は高いですが、他業界と比較してプロダクトの差別化が難しいという特色もあり、入った企業自体がそもそも存続できるかどうかという課題にも直面しなければなりません。私の結論としては、手を動かすエンジニアを30代で目指すメリットは開発で得た経験をフリーランスとして活かす事ぐらいしかないわけです。しかし、フリーランスとなるとまた違った要素が大きくなっていくので、ここでは技術力以上に人脈とか営業力が物を言ってくるわけです。

なぜエンジニアでないとダメなんですか?

私もカジュアル面談で様々な人事の方が親身になってお話下さる中で、上記のような現実を痛感しました。そこで自己分析を深めて、プログラミングスクールに入ったばかりの時の気持ちを振り返りました。

私が転職をしようと思ったのは、前職の現場があまりにIT化されておらず、ITに携わる仕事を通じて小売業界、さらにいうとBtoCの商売自体を大きく変革したいと思ったからです。(さらに言うと、転勤が多すぎて家族の負担がかなり大きくなっていたり、責任の大きさからワークライフバランスを崩していた為です。)なので、プログラミングスクールに入った当初、転職の幅を広げたいって言う理由で参加してたんです。それが、プログラミング自体の楽しさに没頭してどんどんビジネスサイドの考えを失って、大半の駆け出しエンジニアの方にも触発されて、いつの間にか自社開発企業にエンジニアで入らないといけない!みたいな感覚になってしまっていました。

しかし、あくまで私の目的は業界のIT化を実現する事だったわけです。それって、正直、自分がいくらガシガシ慣れないコード書いても実現できないわけです。出世して権力を握らないと。なんならエンジニアとして出世する過程でそのような業界知識すら忘却していく可能性もあるわけです。いつの間にか完全にエンジニアファーストになって、需要とアンマッチな商品を企画してしまう可能性もあるわけです。

要するに、IT=エンジニア、ではないと言うことです。

自己分析を深掘りしていくと、本当の自分の強みってなんだ?って事にも気付きます。私においてはいつも成果が出てきたのは「人」を相手にしてきた時だったと気付きました。それから志望企業と自己PRを素直なものに変えました。そこから面接で必死に準備しなくても自分の思うまま礼儀正しく話すだけで100%通過できるようになりました。自分が本当に実現したい事はなんなのか?その為にはどういうキャリアパスを歩むべきなのか?ってことを突き詰めたわけです。結果、私はエンジニアになることは目的を実現する為には非効率で負け確定の高リスクなルートだと結論付けました。

エンジニアではないIT職種は待遇が良い


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どこの業界もそうですが、実際に手を動かしている人たちよりも、それを発注している人たちの方が待遇は良いです。そして、重要なのは、プログラミングに適性がある人がそういったホワイトカラーで活躍しているわけではないということです。結局稼ぐ為に必要なのは、どこの業界でもリーダーシップ、コミュニケーション力がある人材ということです。

私が決めた企業も、数年でディレクター(クライアントと開発チームを束ねて仕様や計画を決めていく仕事)になれるパスがあるということで入社を決めました。そこで重要になるのはコードを書く力ではなく、マネジメント力とマーケティング力とコミュニケーション力なので、私のような経歴を評価して頂けたわけです。ベンチャー企業であればそのようなポジションで結果を出せれば、事業責任者になることも夢ではないし、もし転職するとなってもそのようなポジションの経験値があれば潰しが聞くわけです。

なんなら、入社時の待遇の交渉すらできます。これはエンジニア職ではまず無理です。

エンジニア35歳限界説

このような事を聞いたことがありますか?私はスクールに通いながら、なんだ、20代の人も別にそんなに習得能力変わらないから年齢なんで関係ないじゃないかって思っていました。しかし、これの本質はそういうことじゃないんです。

35歳で開発やっているようでは、その後のキャリアパスが見えないということです。30代でコード書くのは当然問題ないとは思うのですが、そこから始めて本当に体力的について行けなくなる40代になった時にどんな仕事するんですか?ってことです。そこまで考えると35歳が本当に限界だよねってことだと個人的には解釈しております。

それでもエンジニアを目指しますか?

20代の方は努力すればPM等のキャリアパスも見れるし、フリーランスも狙えると思うので、チャレンジする価値はあると思います。しかし、今のコロナの状況においてはそれでも厳しいでしょう。30代の人は運良く開発企業に潜り込めたとしてもスキルを習得する頃にはそのスキルで稼ぐことは困難だと思います。それでもエンジニアになれば、某スクールが言っているように年収+150万円できますか?今一度考えて頂きたい。

ここまで書いたような事を読んだ上、それでも、30代からエンジニアとして手に職つけたいんだ!って方は、その熱意を忘れず是非頑張ってください。心から応援します。しかし、忘れないで頂きたいのはエンジニアになったからと言って結局出世に影響するのは人間力、だという事です。コミュニケーション力が無いからエンジニアになる、とか、前職が嫌だからとか、具体的に作りたいものがない、とか、そんな気持ちでは絶対に20代に勝てません。それぐらいには年齢の壁はあるし、入ってからもそれこそ血の滲むような努力の継続をして、周りの人間の倍のスピードで成長していくことが必須だということを強く認識して頂きたい。

この転職に際して、一番感じたのは、プログラミングスクールとかインフルエンサーとか人材不足の企業とか、特にIT業界に関しては情報弱者を食い物にしようとしている罠がたくさんあるということです。私の言うことすら信じろとは言いません。できれば仕事を辞める前に、スクールに通う前に、オンラインサロンに入る前に、自己分析を本気でやってください。本当にエンジニアになりたいのか?相当強い覚悟で臨まないと、40代で人生終わりますよ。



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