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雑文 #85

雨がざーっと降ったり、止んだり。
雨に濡れたばらの花は最高に色っぽいと思う。
やはり赤いばらがいちばん色っぽい。
ピンクのばらも黄色のばらも好きだけど、ばらには青はない。
近頃染色した青いばらや青いかすみ草や青いガーベラを見るけどあれは人工的でいただけない、
青って、花の色で尊重すべき色なんですよ。と思うんですよ。
一説では世の中の花の色でいちばん多い色が青なのだから。

江國香織さんの小説について書きたいと思う。
私は彼女の小説のファンで、なぜなら文体が言葉が、それはそれは瑞々しいからである。
まるで夏のはじめの花のような瑞々しさ。

いちばん好きな作品は「落下する夕方」で、次が「ぼくの小鳥ちゃん」、そして「きらきらひかる」…初期の作品ですよね。

出版とタイムラグがあろうとも、私は彼女の小説はほとんど全部買って読んでいるはずだ。
いまは「はだかんぼうたち」を読んでいる。

以前「抱擁、あるいはライスには塩を」を読んだときにもちらと思ったんだけれど、近年の作品では家族を軸にたくさんの登場人物が出てきて、その人間関係を細かく綴るっていう作風みたいだ。
あまりにもドバッと登場人物が出て、混乱するほどに。
それはまるで「カラマーゾフの兄弟」みたいに(←私は読み切れなかった…)

いいんだよ、好きなふうに書いていいんだけどもさ、私がハマった彼女の作品には人物はほんの数人しか出てこなかった。
出てこなくて、しかもみんなこの世にはどこか生きづらそうな人々だった。
だけど近年の作品に出てくる人たちは、ざっくり言うとかなり俗っぽくてつまらないのだ。
安いテレビドラマを思い浮かべてしまうのだ。

こんなことを書いたのは、他でもない、彼女の小説のファンだからで、私はその瑞々しい文体でもっとおもしろい作品を読みたいのだ。

登場人物ごちゃごちゃ、人間関係推理的なものは、アガサ・クリスティのミステリー小説で充分なのだ。
(私は何度も読み返すほどアガサ・クリスティのファンでもある)

日本語の、彼女にしか紡げない、美しくて儚くてどこか子供じみた文章を読みたい。

もしできれば。
と思うのは読者のワガママなんだとは思う。

さて、続きを読んで、寝よう。


#江國香織 #小説 #雨

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