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雑文 #151

スイッチが入れ換わる時というものはあるものだ。
私は4〜5日前までは凹みきっていたと思うのだが、あれ?ちょっと上昇した?と昨日ぐらいに気づいた。

家族が相次いで病気になるのが明らかな原因でそれに立ち向かう私が強くないからだというのはわかってるんだけど、それ以外にもモヤモヤとした要因があって、でもそれは言語化できなかった。
その最中にいるときは。

くるりの新曲「だいじなこと/忘れないように」がカセットテープで発売されて、バカみたいに聴いている。
発売前からテレビやライブで聴いてたこの二曲、すごいすごい好きで、メロディーラインが最高で、かつ歌詞が沁み入りまくる。
「だいじなこと」なんてくるりの曲になくてはならないと思っていた舌を巻くような間奏やアウトロがない。ないのに、物足りなくない。一聴で涙した。そういえば「忘れないように」もライブで初めて聴いて泣いたっけ。

私はわりとだいじなことを忘れないようにしているほうじゃないかと思う。

モヤモヤしていたのは、こんなこと。

離婚して5年、最初は頻繁に、そのうち月一ぐらいで生存確認のように連絡を取っていた元夫が再婚したとの知らせがあった。
私はお人好しのように聞いた瞬間「おめでとう!」と思い、そう言いもしたのだが、少し経つと自分ばかりが独りでいることについての反感というか、ムカつきが出てきた。
と同時に、再婚相手のことを考え、あ、私はもうあの人と連絡取っちゃいけないんだなと思った。
あんなに親しくいた人と?あんなに長い間一緒にいた人と?
ちょっと考えられない。でもそうするしかない。
私は6年前いちばんの親友を死という最も悲しい別れかたで失ったが、こういう喪失もあるのだなと思った。
生きてるし、きらいじゃないのにもう一生会わない。きっともう話すこともない。
ここまで親しくなって、かつ連絡の途絶えた人って他にいないので、不思議な気持ちだった。

新居を買うと言うので、私の荷物がまだだらしなく彼の家にいっぱい残っていたことが気になって気になって、送り返してもらった。
段ボール10箱以上、あと家具的なものも数点あった。

たくさんの食器は私が旅行で買い集めたもの。
結婚祝いに仲良しの友達からもらった素敵なものもいくつかあった。
私は気に入ってるものは残し、洋服は全部捨てた。
せっかく送ってくれたものの半分は捨てた。

淡々とその作業をしていくうち、完全に別れたことにだんだんと気持ちの整理がついていったのだが、それでもなお残ったモヤモヤはどうしたらいいんだろう。

とたんにこれまで彼と通った場所を通るたびに思い出すようになった。
これまで、連絡を取っていたときは意識しなかったのに。
一緒に旅行した場所を意識するようになった。

要するに、思い出になったのだ。

戻りたいとは思わないけど楽しかった日々。
二度と経験したくないけどきっといまの私の何かを形づくっているあれこれ。
優しかった彼のお母さん。
私がたしかに通ってきた道と見てきた風景。

それがなくてはいまがなかったのだ。
そしていまは未来に繋がるもの。

そういうことを、岸田くんはとっくにわかっていて歌っているんじゃないか。
だから私はこんなに心打たれるんじゃないか。

ところで。
くるりの次期アルバム『ソングライン』の発売日を私の誕生日にしてくれてありがとう。
そのことは、確実に私の気持ちを温かく灯したよ。

#雑文 #散文 #日記 #くるり #ソングライン #9月19日

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