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雑文 #148

一度は秋田を捨てたと思ってた。
大学入学で上京したときに。

その時はくるりの「東京」みたいに故郷やそこにいる人を想う気持ちは共感できず、ただ目の前にある新しい世界に目を輝かせていたことだろう。

両親がいるということもあった。
いつでも気軽に帰ることのできる場所。

好きじゃないけど私のもの。
それは確かに私の一部。

つまづいて、不本意に、そんな好きじゃない場所に戻った。自分の意思ではなく戻された感覚で。
だから私はもがき苦しんだ。
なんでここにいなきゃいけないの。

そんなふうに苦しんでいたとき、くるりの岸田さんの日記で読んだ。
「その人がそこにいるのには理由がある」

何気なく書いたことかもしれないけれど、私の心には突き刺ささった。


それから私はちょっとずつ秋田を好きになり始めた。
いやなところはあるけど、切っても切れないきょうだいみたいに。
自然の美しさは否めないし、いつも山が見えることへの安心も私の中に染みついている。
秋の紅葉がどこよりもきれいだってことにも気がついた。
気づけば10年以上。だけど定住感はなかった。

今年再上京をしたとき、くるりの「東京」がこれまでになくグッときた。
一人暮らしの部屋で聴いたとき。
地下鉄の中でイヤホンから流れてきたとき。
そして「線」ツアーライブでひときわグッときた。

けれども両親も秋田にいなくなったら、どうなるのだろう。
私たちは岐路に立たされている。
そうなったら、私は親友に会いに秋田に行くのだろうか。
割れそうな思い。裂けそうな心。失いたくないもの。
そういった不安な気持ちを抱きながら、昨日(というか一昨日)はくるりのファンクラブ限定ライブに行ったのだった。

目の前のことに邁進しなさい。
疲れたら少し休んで、また前へ歩きなさい。
置いてきたことを忘れずに、大事に心の奥にしまっておきなさい。
日々を楽しみなさい。
つらいときは僕らの音楽で泣いてなさい。

そんなふうに言われた気がした。

#くるり #日記 #雑文 #音楽

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