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雑文 #281 親友Y-2

私はよく寝る前にお香を炊く。京都のお気に入りのお香屋さんのだ。

ずーっと前に、亡き親友Yからもらったお香立てを使い続けている。

彼女は誕生日とか記念日でもない日に急にプレゼントをくれる人だった。


昨日、Yのことを書いたのでまたさらに書きたくなった。


私は二十代の頃にYの家と歩いて10分かからないようなところに住んでいた。学校も職場も別なのに。(彼女は中学からの友人だ)

だから、気軽に呼び出せた。

その頃、残業当たり前の会社に勤めていた私。Yはシフト制で、空いた日であると、夜に時間を合わせて一緒にごはんを食べた。

たいがい近所のファミレスとかだ。

その頃私は会社に気になる人がいて、いや、とても好きな人がいて、なかなかいい感じだったため、その一部始終や進展を誰かに聞いてほしかった。Yはうってつけの聞き手だった。20代半ばの女子2人のトークなんてだいたいそんなものだ。Yには恋人がいて、よく惚気てきた。

私は好きな人との微妙な関係を、会話の内容を、気持ちの動きを、彼の反応を、Yに報告した。

相談というよりは報告。そうすることで自分の中でも整理していたようだったが、その発展しそうでなかなかしないエピソードの数々を、Yも楽しんで聞いていたように思う(こちらは随分悩んでいたと思うが)

またある時は近所の銭湯で。

私は突然Yに電話する。「銭湯行かない?」

若かったから、夜の9時やら10時やらからの発動もアリだ。

私の住まいのごく近くにいい銭湯があった。

先日、「もうなくなってしまっただろうな」と思いつつ、Google Mapでその前を通ったら、なんと健在だった。

私のノスタルジーメーターがぶるんと振れた瞬間だった。


私は仔細な恋バナは、ほとんどYにしかしなかった。

過度に焚きつけるでもなく説教するでもなく、おもしろそうに聞いてくれた。


いまならどんな話をするんだろう?

あの銭湯に、行きたいな。

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