雑文 #175 毅然
行きかう人々を見ていた。
日曜日は家族連れ。若い人たち、中高年の人たち。男と女、男の子と女の子。かわいい人そうでない人。痩せた人太った人。流行の服に身を包んだ人(流行なんてよく知らないけれど)……
どうして私はあの人たちみたいな人生じゃなかったんだろう。何度も何度も考える。あの人たちが私の思ってるような生活をしてるかなんて、どんな思いをしているかなんて、知る由もないのに。どうして。考えても仕方のないこと。
いつの時点でパラレルワールドが発生していたら、向こう側の人生が一番違っていたか。そんなことわからないくせに、あの時だと思ってしまう。恨みに思ってもしょうがないし、向こう側の人生が幸せだとは限らないのに。どうしても、行きかう人たちを見ていると思ってしまうんだ。
立ち戻ってみたいパラレルワールドの分岐点は他にもいくつかある。私の想像では、どの私もこちら側の私より幸福だ。
後悔ばかりしている人間なんて好きじゃない。でも、それが私だ。
桔梗がきれい。たたずまいも色も。楚々としているのに毅然としている。よその人の庭に咲いていて、写真を撮れなかったので昔の家の桔梗の写真を探してみる。2008年。その日の写真の自分が楽しそうで、元気そうでびっくりする。
あの頃だって苦しんでいたはずなのに、私はいいことばっかり思い出す。なんで比較してしまうんだろう。昔の自分と比較して嫉妬するのが私の一番悪い癖だ。ああいやだな。それを後悔と呼ぶんだろう。
後悔少なく毅然として生きたいものである。
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