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行定勲監督のオーディオコメンタリーを聞きながら見る「真夜中の五分前」


どこかセピアがかってノスタルジック感を漂わせるこの映画は、あの日まで知らなかった。でも何度も見ているうちにとても好きになった作品だ。


先日、hoofさんがこの映画について、続けて記事を書かれた時のこと。
コメント欄で盛り上がった。


人によって見解が違うのもわかるし、敢えて見る側に答えをゆだねて製作されていることもわかっている。でも答えが同じだとしても、そこに辿り着くまでもが全然違って、改めてそれを感じて面白いと思った。
誰かと一緒に見たことがないから、誰かの意見を聞くこともなかった。

私も初見と今では、違う見解だし、見るたびに揺れる。
皆さんの見解を頭にいれたから、改めて細かく見てみようかな、とDVDを取り出してきたところ驚きがあった・・・

行定監督のオーディオコメンタリー

本編ディスクの特典に、行定監督のオーディオコメンタリーがついていた。
持ってる皆さんは、ご存知なのだろうか。なんでもっと話題にならないの?
私がしらなかっただけ?
春馬くんが出ている特典ディスクに気を取られている人が多いのだろうか?
それは紛れもなく私だけど。
監督の話なんてとても貴重なのに、本編のオーディオコメンタリーを知らないままだったとは。

本編の2時間9分の間、監督お一人で、貴重な話をたくさんしてくれている。
監督が実際に体験して、感じた裏話だからこそ、リアルでとても面白くて、
かなり聞きごたえがあった。
聞く前の本心は、「行定監督と春馬くんとで(銀魂2の監督と演者のオーディオコメンタリーのように)やってほしかった!」なんて思っていた私は、失礼極まりない。

既に出ている情報だけど、映画を作るまでに10年もかかったこと、なぜ上海で撮影することになったかということ、中国と日本の映画の撮り方が違うこと、プールのシーンの現場と中国人エキストラのこと、リウ・シーシーさんの双子の演じ方のこと、上海やモーリシャスのこと、一番最後に撮影されたシーンのこと、監督がモーリシャスで入院されたこと、その他こまかい裏話や、もちろん「俳優  三浦春馬」のことも。
こんなもんじゃなく、とにかく聞きごたえ十分のもっとたくさん!

心に残った監督のはなし

リョウとルオランの「は・な」「み・み」と言いながら床に落ち、ゴロンとなるシーンは、実際に2人がどんどん距離が近くなって、仲良くなるきっかけになるシーンを作りたいと思って、監督が即興で書かれたそうだ。
あのシーンはすごくかわいいくて好きなシーンだけど、監督のそんな思いがあっただなんて。監督もかわいいシーンになったと言っていた。

もう1つは、モーリシャスの教会で、一人で座っているおばあさんの話。
この教会の目の前に住んでいた80歳すぎの地元の方だったらしい。この映画完成の直後に亡くなったらしい。

実際この世の中に居ない方が、この映画が誕生すると共に、
このフィルムの中に残っているのはすごく運命的だと思っている。

行定監督がおっしゃってること、今はよくわかるし、それが運命というか、いまいない人がフィルムの中に存在している不思議を感じています、と伝えてみたい。

三浦春馬とリウ・シーシー2人の見解

見てる人によって見解が全く違うこの映画、演じた2人の見解も違っていたらしい。
「(演者の)見解が違うけど、大丈夫なのか?」と、監督に聞いたらしい。
とても春馬くんらしい。一緒に演じていても違うだなんて、面白い。

春馬くんは、「ルオランが残って、彼女が好きだった男の元へいった。
リョウとしては悲しい話だけど、ラストを考えるとルオランがいい。」
なるほど・・・なんか春馬くんぽい。私と同じ見解でちょっと嬉しい。

リウ・シーシーさんも、最初はルオランだと思っていたらしい。でも春馬くんが聞いた時は、ルーメイに変わっていたらしい。
ご本人も演じているうちに、ルオランでもルーメイでもなく、第三の人格になっていったと。
ここで深く納得した。。。どちらの表情でもないからこそ、見ている私たちも惑わされるんだろうな。

監督がまさかの・・・

元々このオーディオコメンタリーを聞こうと思ったのは、生き残ったのは、ルオランかルーメイなのか、監督の話の中に何かヒントがあるかな?と思ったからだけど、途中(私てきに)その瞬間は突然やってきた。

「あれ?監督いま、さりげなく名前言いましたよね?」

監督のコメントはそのまま続いていたので、私の聞き間違い?と思ったほど。でも言ったと思う。
だいたいどのシーンでその話をしたかは覚えている。でももう少し楽しみたい私は聞き直せないままでいる。

真夜中の五分前は曖昧な時間

真夜中の五分前におこる出来事
リョウの時計でいう真夜中の5分前は、本当は真夜中
翌日になることはポジティブなことなのに、
明日になる前の五分前は非常に不安にかられる
曖昧な時間

行定監督が言っていた「真夜中の五分前」のこと。
確かに明日は未来なのだからポジティブなのに、不安になる時間・・・
そんな不安な時間だから、そこで起こることはミステリアスでしかないのかもしれない。

行定監督が10年間考え続けて撮りたいと思っていたこの作品、一番描きたかったのは、このラストだという。真夜中の五分前から、2人が迎える翌日。

ルオランかルーメイか、映画の中で起こっていること、1つずつ潰していっても、絶対こっちだと言いきれないまま。。。やはり見る側に委ねられる。

オーディオコメンタリーを聞き、監督の声と話にとても癒され、裏側をたくさん知れたことにより、この作品が更に更に愛おしいものとなった。
もしもDVDを持っているのに、私みたいに知らずに見ていない方がいたら、是非とも見てほしい。

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春馬くんが時計修理の技術指導をうけた時計屋さんで聞いた話はこちら↓


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