昔々あるところに……その4
おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出かけました。
おばあさんが川で洗濯をしていると
どんぶらこ~どんぶらこ~と大きな桃が流れてきました。
おばあさんはその大きな桃を拾い上げると家まで持って帰りました。
「……なるほどのぉ。事の経緯は把握したわい。
安心せい、ここがわしの土地である以上、横領にも窃盗にもなりはせん」
「おじいさん……」
安心してそっと胸をなでおろすおばあさん。
「しかし、この桃は一体何なのか、それは気になるのぉ」
そういうとおじいさんは慎重に検査を行うのだった。
~一時間後~
「どうでした?」
「まずこれは桃ではない」
当たり前と言えば当たり前な答えに辺り一帯の温度が下がる。
「コホン、次にだが、金属反応と生体反応があった。
より詳しく言うならばこの桃のような形状をしている物は
巨大は金属の檻であり、その中に赤子のような人が存在しておる」
「なんと赤子が!?」
「うむ。本当に赤子かどうかは実際にこの目で見るまで断定はできんが、
検証結果だけを見るならば間違いなかろう」
「という事は、おじいさん!!」
「ああ、これは不法投棄ではなく親族遺棄、
そして場合によっては誘拐となる犯罪じゃ!
ポイントはこれが物ではなく赤子であるというところじゃな。
そしてこの赤子は熱探知の結果からまだ生きている事が確認された。
つまり遺棄されたか誘拐されたか、
はたまた何かの偶然で流れ着いてしまったという結論に至るわけじゃな」
この後ドヤ顔したおじいさんに
「そんな事はどうでもいいですから早く中の子を助けてあげないと!」
という至極真っ当なおばあさんのツッコミがあり、
必死の救出作業が行われたのは言うまでもなかった。
めでたしめでたし……
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