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ヘタと無欲。

ちょっと気になって読み始めた「バカと無知」という書籍。作家の橘玲(たちばなあきら)という作家が、独自の視点で世の中の事象を分析しているのですが、これがなかなか面白い。D.ダニングとJ.クルーガーという2人の心理学者の研究による考察をかい摘むと、能力のある者は自分を過小評価し、能力のない者は自分を過大評価する傾向にあるという。有り体に言えば「バカの問題は、自分がバカであることに気づいてないこと」だって。これにはダニング=クルーガー効果と名前があり、本書はこうした前提から始まっています。

そしてもっと興味深いのは、バカとカシコが議論をすると、カシコの意見に従えばいいのに、カシコはバカに引っ張られて、よろしくない結果に導かれて行くそうな。物事を決めるのに、バカとカシコが議論すると、サイコロを振って決めるよりも悪い結果になるのだという。ね、面白いでしょ?

「バカと無知」は、この前提で、SNSや偏見や政治など、世の中のさまざまな現象を評価していくのだが、この辺まで読んで、私は、あ、音楽(アンサンブル)も同じだな、と思いました。合奏において、プロ級の上手な人(カシコ)がいても、ヘタクソ(バカ)なメンバーがいると、全体としては最悪な演奏になってしまう。じゃないですか?そして、

昔の私はカラオケが好きで、音痴ではない自分はそこそこ上手に歌えると信じていた。ところが自分の歌声を録音した時、確かに音痴ではないけれども、なんてヘタクソなんだと気がついた。それからはあまりカラオケが好きではなくなってしまった。

そんなわけで、トランペットを手にしている今も、練習でも本番でも、自分の演奏を録音するようにしている。演奏中には、そこそこイケたのではないかな?などと思いながら吹いているのだが、後で録音を聴いてみると、なんて酷い演奏なんだとわかってしまうのです。残〜念〜!

あと、タイトルの「バカと無知」ですが、バカは能力が低いことだけど、無知は能力があるのに勉強不足で物事を知らない状態であり、バカとは異なるそうです。これをもじった本ブログのタイトル「ヘタと無欲」の意味は、ヘタは何しろヘタのことですが、音楽においての無欲とは、楽器は上手なのに向上しようとしないから上手くなれない状態のことをこのような表現にしてみたわけです。

私の場合は、ヘタ(バカ)だけど、今は向上心に満ちているのだけれども、まだまだたりないのかなぁ_:(´ཀ`」 ∠):。

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