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人を疲れさせる美しさ

美しい人に会って、何ともいえない疲労感を感じたことはあるだろうか?

以前、こんなに美しい人に会えるものなら会ってみたいと、
SNSで見つけたその人の美容講座に参加したことがある。

直接美容について指導していただきたい!という女性達が全国から会いに来ていた。

実物はさらに発光しているかのように
本当に見惚れてしまうほど美しかった。
その秘訣を聞いてみると惜しみなく教えてくれて、
その人の努力は素晴らしい。
実にエネルギッシュな人だ。
まつ毛の塗りかたにも工夫がすごい
来た人は一言一句逃すまいと、ペンが止まらない

1日が終わり、帰り道に気づく

そのようなエネルギーの高い人と一日8時間以上
エネルギーが普通以下の私が同じ空間にいると、非常に疲れるのだ。
教えてる人がレベル300で相手の私が30だったらそりゃそうだ。
いや、対戦しにきたわけではない。
300に少しでも近づくための武器を手にするため、課金したのだ。

初日は美の秘訣を吸収したい
のところから
洋服もメイクも身だしなみだから、きちんとしないと!という2日目に着る服選びから
その洋服に合わせてのメイクなんて、
気合いの入った友人と会う時以上に力をいれる。
なにをどこまで見られているか聞いてしまった以上、気を抜けないのだ。
その何たる窮屈さ。
講座だからと受け身で参加していた私の姿勢がモロにバレる。
それじゃいかんのだ。
ここはいかん。
ありの〜ままの〜という
優しい世界ではない。
なんて手厳しい講座に参加してしまったのか!

でもたるんだ私の美意識に火をつける
素晴らしい講座ではないか、と思いたい
そんなピリっとした空気を感じていたのは私だけではなかった様子。
先に帰ったはずの方に駅のホームでバッタリ会う。
放心してホームの椅子に座っていた。
「本当に 疲れた、、」
と彼女は言った。
「私もですよ、、」
礼をして通りすぎる。

そうだよね、疲れたよね。
これは何の疲れなのか?
美しくなりたくて参加したはずなのに、
美意識が違いすぎるのか?
マインドレベルが違いすぎるのか?

初日は見惚れていたし
最終日も彼女は美しかった。

感想は

私にはお腹いっぱいだ。

美しい人と過ごすには、
スターと観客という、味スタくらい離れて応援するのがちょうどいいのかもしれない。
私もその人のようになりたいと思っていた気持ちは何処へ。

私はこと細かく見られている
と思うと
まつ毛の塗り方一本一本みられている
と思うと
緊張してしまった。
それだけやってます!
って人は見られても平気であろう。
しかし、そうではない私のような凡人は
緊張で、どうか見ないでください、だ。

でもわかった。

本当に美しく仕上げている人のその努力
それは凡人レベルではない
相当の準備と努力の結果である。
そこまでやっての自信からの発光かもしれない。
まつ毛一本、
細部までみていただいていいという完成品。
そう、完璧に仕上げた「最高の私」という作品なのだ。

発光した人から沢山色んなものを浴びて
私はかるい火傷状態だった。

この火傷が落ち着いたら、
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