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フードパントリーの記事を書いて思ったこと!

コロナ禍が始まった2020年以降、子ども食堂がみんなで集まって食べる〝食堂形式〟がとれなくなったり、困窮家庭を緊急的に支援する必要性が高まったりということを背景に、「フードパントリー」の活動が広がっています。

私が代表を務める無料塾でも、子ども食堂と連携して2020年春から生徒たちにフードパントリーを月に一度実施、現在も続けています。

生徒たちに渡しているのはお米やパスタ、野菜や果物、レトルト食品や缶詰、お菓子などなど。ときには文具や生活用品なども届けています。
これらの物品の多くは、Amazonほしい物リストを通じて全国各地の方からご寄付をいただいており、本当にありがたい限りです。

先日、仕事で、こんな記事を書きました。

こちらは内閣府「子供の未来応援国民運動」のPRの一環としての記事です。
フードパントリーを実施している団体さんに取材させて頂いたのですが、改めて、こうした支援を通じて「場をつくること」の大切さを感じました。

フードパントリーは食品を配ることが主となる活動なので、ご利用される方とは受け渡しのときしか接点がないようにも思われます。実際、渡して終わり、にすることも可能です。
ですが、取材させて頂いた団体さんのいずれも、その場所をどのようなものにするか工夫をこらされていました。
さくら彩さんは、社協の職員さんや町内会の方、民生委員や学校関係者さんなど、地域で子どもや家族と関わるさまざまな役割の方がパントリーに参加されていることから、ご利用家庭のさまざまな困りごとに細かく応じられるようになっています。
せたがやこどもフードパントリーさんでは、子ども用品や学用品などの譲り合いなどで、ご利用者さんがお互いに助け合う場にもなっているそうで、「一方通行の支援」ではなくなっていました。

子ども食堂やフードパントリーなど「子どもの貧困」に関わるような活動が、場づくりではなく物的支援のみ、つまり「一方通行の支援」を中心としてしまうと、悪く転がれば「理想の貧困者像」を求めるようになってしまいます。
「この前外食しているのを見た、本当はお金があるのでは」
「スマホを持っているから困窮とは言えない」
「いい服を着ていて親も子どもたちも楽しそうにしている、困っていないのでは」
本当に困っている人を優先したいという気持ちから、どこからどこまでを困っている人の部類に入れるかというラインが非常に厳しくなってしまい、見た目だけで合否が決まるような形になっていってしまう……。
支援を受けるほうも、「私よりもっと困っている人がいるかもしれないから」と遠慮したり、本当に困っていることを事細かに伝えることがしんどくなったりして、足が遠のいてしまうこともあると思います。そうして支援を遠ざけた先に、さらなる困窮が待っているとしたら、悲しいですよね。

でも、その現場での人と人とのつながり、関わりを大切にするようなコミュニティとして機能させることを意識していけば、困りごとの根本原因が見えてきたり、さらなる困りごとを防ぐことにつながっていきます。さらには助けられるだけでなく「お互い様」の土壌ができれば、助けられることのハードルも下がります。
今、みんな、「助けて」って言いづらいですよね。
自己責任論が広がっているだけでなく、みんなが苦しい中で誰かが苦しいと声を上げれば、「そんなの本当の貧困じゃない」「うちはそれ以下だけど我慢してるんだ」とあら探しやどっちが困ってるか競争が始まることも。足の引っ張り合い、すごいですよね。

そんな中で、取材させていただいた団体さんはとてもうまく場づくりをされていらっしゃる。そんな印象でした。
ご利用者さんだけでなく、関わるひとたちがみなさん、そこを自分自身も楽しい場にされているといいなと思います。

さて、この記事、上にも書いたとおり、内閣府の「子供の未来応援国民運動」の一環でのお仕事だったので、近日中にこの公式サイトにも掲載予定だと発注元から伺っています。どんな感じになるのかな……。
この「子供の未来応援国民運動」については、「子供の未来応援基金」というものを国民から寄付で集めて、子どもに関わるさまざまな支援団体に助成しているものです。
実は私、この基金設立のときには「なんで全額が国民からの寄付なの?」とかなり違和感を抱いたものでした。無料塾や子ども食堂をやっている他の団体さんとこの話が出ても、やっぱりみなさん同じように「税金ではなくなぜ寄付なのか」と疑問を抱いています。
ただ、説明を聞くと、税金でおこなう行政支援と、民間のさまざまな団体ができる支援とでは、できることが違うのだと。多くの一般の人たちが関わり、助け合う社会をつくっていくことも大切で、行政支援と民間の支援は両輪で動いていくのが望ましい、ということでした。

たしかに、一定の制限やルール、仕組みが必要になる行政支援とは異なり、現場ごとの判断ができたり、ひとつの支援だけにこだわらず複合的にサポートできたり(子ども食堂が学習支援をするとか、無料塾が遠足に連れて行くとか)といった柔軟性は民間団体のほうが優れているし、何より人の血が通っていることによる良さもあります。
なんでも人の困りごとは行政の施策によって解決すればいいというものでもないし、それだけで何とかなるわけもありません。
昨今、一部でNPO叩きのようなことも起こっていますけれど、民間の団体が血の通った活動をすることは、今の社会においてとても重要ですよね。
そう考えると、「民間の寄付で民間が動く」という仕組みを行政がつくり、より広くから集めること・より広く助成していくことは、アリなのかもしれません。

とはいっても、フードパントリーについては、基本的には「食に困っている方に食を届ける」ものですから、食に困っている人をもう少し減らせるようなことを、税金の側でやってもらえればいいのになとは、めちゃくちゃ思っています。
パントリーは必要なくなっても、コミュニティの必要性はそう変わらないでしょうが、少なくとも各団体が必死にたくさんのお米を集めたり、それを仕分けしたりといった労力は減りますし、もっといろんなご家族の話をじっくり聞く余裕も出てくるのではないかなと。

今、本当に、行政支援と民間支援はバランスの良い「両輪」になっているのかな……?
もしかしたら、どっちも足りないのかもしれないし、どちらかに傾いているのかもしれません。
でも、この両輪を動かすエンジンとなる、この社会に生きているひとびとの思い、エネルギーみたいなものが、そもそももっと必要なのかもしれません。自分だけでなく、みんながもっと幸せになれるように考えていこう、そんな前向きなエネルギーです。
少なくとも、記事をきっけに、そんなことを思ってくださる方がいたらいいなと思って、このお仕事を受けさせて頂いたのでした。

ちなみに……私が運営する無料塾「中野よもぎ塾」生徒(中学生)・卒業生(高校生)へフードパントリーでご支援いただける場合は、こちらのAmazonほしい物リストよりお願いいたします!

子ども食堂「上高田みんなの食堂」との協働となっておりますので、お届け先を「上高田みんなの食堂」に設定してご決済いただければ、ご支援いただけます。
いつもみなさんの温かいサポート、本当に助かっておりますm(__)m

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