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ひどい2021年の幕開け。ケンカしてる場合じゃなくなりました。

ひどいことになっています。子ども食堂や無料塾に関わっている中で、もともと低所得世帯だったご家庭が、さらに追い詰められているのを感じます。

食費を切り詰めるしかなく、子ども食堂のお弁当配布やフードパントリーをホッピングして「他にもフードパントリーなどやっているところを知りませんか」と聞くお母さん。夕方に子どもたちのお弁当だけを取りに来て、それを子どもに渡してまたすぐに仕事に出かけるお母さん。自転車で行ける範囲で開催されているフードパントリーを教えてくださいと連絡してくる高校生。水道水以外の、お茶などの飲み物が買えなくなったご家庭。下着が破れても買い換えられない親子。

直接困窮を訴えてこられたり、他団体から「こんな方がいた」と聞いたりするのは、ほんの一部なのだと思います。もっともっと困窮している人がたくさんいらっしゃることは、容易に想像がつきます。

そんな中、先月の話ですが、50代の会社員4人とお話をしていたときにこんなことを言われました。

「もともと困窮していた人たちをなぜ助けないといけないの」
「自業自得でしょう。そこにお金を使っていたらきりがない。医療のほうにお金を使うべきだ」

あなた方は実態を知らず、そういう人たちがどれくらいいるかも知らず、困窮世帯が増えた結果どうなるかを考えていない、ということを伝えると、
「俺たちの時代はもっと貧乏だった。それでもこうして稼げるようになった。努力すればいい」
「子ども貧困率が7%って、たったそれだけしかいないのに、君はそこに時間を割いているの!?」
まったく話になりませんでした。
いろいろな方にお会いしていれば、こういう話になってしまうことは多々あります。今までも、酒場で何度知らない人たちとケンカをしたことか。

私の肌感覚ですが、こういう考え方をしている人は40〜50代の男性にものすごく多いです。少なくともこの数年、私が「こういう活動をしている」というと「なんで?」「意味あるの?」と突っ込んでくるのは、すべて40〜50代の男性です。なぜなのかはわかりません。ただ、社会の中である程度稼いでいて、学歴や肩書きやお金を稼ぐこと=人の価値という偏差値教育にどっぷり染められ、今現在経済的に困窮しておらず、子育てにもあまり困っていらっしゃらない(奥様が頑張っていらっしゃる)方というのは、こういう考えになりがちなのではないかと思います。そして、悲しいほどにこういう方は多いのです。

弟に言われました。「お姉ちゃん、そういう人たちといくらケンカをしてもムダ。そういう人はいくら話しても絶対に理解できないし、そもそも理解することを本能が避けているから」
たしかにそうなんだよね、と話していて気がついたことがあります。今困窮している人たちが「社会の構造的に不利な状況にあるからだ」と認定されてしまうと、「自分は努力をしたから今の生活を得ている」と思っている人・思いたい人は、その「努力したから」の部分を覆されることになります。「社会の構造的に有利な状況にあったから」そこそこ稼ぐことができたのだ、となってしまうと、自分の力で人生を満足できるものにできているという肯定感の根拠を失うことになってしまいます。「あなたは実は、恵まれていたんだよ」ということを、認めるわけにはいかない人たちがたくさんいるのでしょう。人間というのは本当に悲しい生き物です。

そんなことに気がついたからといって、何がどうなるものでもありません。そりゃ、「自助、共助、公助」(で、公助の出番はいちばん最後)というキャッチフレーズがすんなり通ってしまうわな、と納得がいくだけで、困っている人たちの助けには1ミリもなりませんね。

今は、このような価値観の相違を埋めることに私は力を割くことができません。そんなヒマがありません。もう溝を埋めることは置いておき、「なんとかしないと」と思っている方々と連携して、できることをやっていくしかない状況にあります。支援情報の整理、発信、学習支援の充実、食材や日用品などを集めて届けることetc.. 自分の仕事もだいぶ、こちら側の内容に寄せられるように動いています(メディアとして動くことも重要なので)。

でも、「なんとかしないと」「何か少しでもできることがあれば」と思っているひとりひとりが、小さなことでも1つ、2つ行動をしていくことで、やがて大きな潮流ができるのでは……とも期待しています。
小さな額でも寄付をする、必要な方に必要な情報を渡す(私は夜ウォーキングに出る際、住居のない方に出会ったら近隣の福祉情報を書いたメモを渡せるようにしています。Twitterで支援情報をRTするなどでも、誰かの助けになることがあると思います)、近くのボランティア団体に参加する、周りに実は困っている人がいるのではないかとアンテナを立てて注意深く話を聞く……。どんなことでも、ひとりひとりの小さな行動が、今ものすごく大切だと感じています。

2021年初のnote投稿となりましたが、今年もこんな感じでぼちぼち書いていこうと思っています。よろしくお願いいたします。

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大西桃子(ライター・無料塾代表)
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