⑯スタッフ辞めても補充なし。元ヤングケアラー訪問介護員が呟く、過酷な仕事環境と現在の在宅介護のリアルな話。
私は14歳から26年間、
祖父母の在宅介護に関わってきた
元ヤングケアラーです。
40代の現在は、在宅介護を支える
訪問介護員で、ヤングケアラーだった遠い昔の在宅介護と、最近というか…
2年前の在宅介護と比べても、
在宅介護の現状に、ホントに
限界が来ていると感じたので
書きました。
ヘルパー不足が
テレビでも取り上げられるように
なり、もはや有効求人倍率が、
15.いくつなんて言われていますよね。
私の事業所でも、
4年前には8人か9人くらい
スタッフがいたので、
同じ忙しい毎日でも、
そこまで「人がいない…。」と、
感じることは当時は
なかったのですが、
そこから知らないうち
(直行直帰なので、事務所に
1週間に1回程しか行かない為)に
1人辞め…2人辞め…。
求人を出しても問い合わせすら
ないまま、どんどん減り続け…。
ついに、4.5人の半分になりました。
現在の勤務は、
休憩を取る時間もない程
スケジュールが詰まっていて、
パートでも正社員以上!に
働いています。
スタッフが辞めても利用者さんの
人数は変わらないので、
1人辺りに入る件数は当然増えます。
酷暑の中の車の運転、からの〜
冷房や扇風機があっても、
いれない部屋でのサービスなんて、
何件もあり…。
40℃近くの中での掃除、
熱がこもる台所でのガス火調理…。
せっかく室内に入っても、
また暑い外に出て、1週間分の
買い物をカゴいっぱいしてくると、
今度はアパートの階段を、
よいしょよいしょと上がらないと
いけない家もあります。
ほんの少し入る風が
「寒い!」と言われるので、
ドアを開けることも、換気扇を
回すことも許されない入浴介助が
あることもありますね。
マスクをかけて上下服を着ている
ヘルパーは、倒れそうです。。。
夏は、とにかく大汗をかいて、
意識が朦朧としそうな環境ばかり。
謎の虫に刺されて熱発するし、
蚊に刺されすぎたり、
蜂の恐怖に怯えながら出入りしたり…。
利用者さんの恐怖といったら、
果物ナイフを持って不審者扱いをする
認知症利用者さん宅への訪問や、
便を投げてくる利用者さんがいたり…
ヘルパーをデリヘル扱いして、
入浴介助で性的な要求をする男性も
いますし、1人で伺い、密室での
危険や大変な出来事をあげたら、
いくらでも出てきます。。。
こんな状態なので、
辞めたスタッフの皆さんで、
訪問介護の事業所に転職した方は
誰もいないと聞きました。
つまり…。
1つの事業所が例えば倒産した
としても、
お給料に見合わない働き方を
続けている現在のヘルパーが
他の事業所に散る可能性は低いという
ことなので、ヘルパーは
減っていく一方ということに
なります。
これ、実際介護保険を使って
サービスを受けたいとなった時、
どうなると思いますか?
つい最近の出来事なのですが、
夫の家族が有料老人ホームに
入所していて、「毎月入居費用が
15万以上かかるとなると、
生活が破綻する日が来そうだから、
在宅介護に切り替えたい」と、
相談がありました。
さて、おじいさんは
要介護4なので
立ち上がりや歩行、
入浴、排泄などについては、
介助がなければ行うことが
難しい状態です。
利用できるサービスの限度額は
30,938点で、
1ケ月の間に約309,380円分
(1点の単価が10円のエリア)の
介護サービスを利用することが
できるのですが、
朝・昼・夕の排泄介助を
訪問介護の身体の30分枠に
帯で入ってほしいと希望した時に、
(デイとか訪問看護とか、
福祉用具レンタルなどで
点数がオーバーすることは
置いておいてです。)
ケアマネジャーさんから
言われたセリフが、
「人手不足で、入れる事業所が
ありません…。」
「いくつかの事業所を使っても、
ムリそうです…。」でした。
…そりゃーそうだ。
ウチの事業所だって、もう
いっぱいで入れないのだから。。。
もはや点数がオーバーするから
自費になることが問題ではなく、
やってくれるヘルパーがいないという
現実。
もう国が介護保険で在宅を助けて
もらえない。
↓
家族が仕事を減らしたり、
休んだりして看るしかない。
だったら施設…?と、
思うかもしれませんが、
介護認定が厳しくて認知症が
少々あっても、自分で動けて
食べられれば要介護3なんて
なかなか出してもらえません。
話を戻すと、少し前までなら
朝・夕の帯の身体で
サービスに入らせて
いただけるとなれば利益にも
つながるので、
すぐに受けたであろうことが
今は物理的にムリなのです。
とにかく人がいません…。
ヘルパーの働く環境も、
事業所によって差があって…。
利用者からセクハラがあっても
他に行かれる人がいなくて、
迷惑をかけるという言えない
雰囲気や、
利用者さんがヘルパーなんぞ
必要ない!と思っていると、
「又来たのか、帰れ!」と
心が折れそうになる一面があっても、
ニコニコと、うまい言葉を遣って
何とかサービスに入らなくては
いけないので、
信頼関係が作られるまでは、
精神的ダメージも大きな仕事だと
思います。
時には命に関わる状態の対応も
しないといけないですし、
利用者さんの同居家族が
倒れている時もあり…。
亡くなっていたこともあります。
いろんな状況の中で、
こんなにやっていても
お給料って上がらなくて…。
処遇改善のお手当ては、
事業所に入ってから
どうなっているのか??
コロナが流行った時に、
県から個人に慰労金みたいなのが
一度出たことがありましたが、
個人に振り込まれないと
結局変わらないので、
給料に見合わない仕事はしたくない!と、辞める人が続出することも
原因の1つです。
とにかく…。
将来自分のおむつを換えてくれる人が
いなくなるとなると…
責任の押し付け合いから、
家族間の虐待や殺人が増加しますよね。
なんとかならないかしら………。と、
今日も車を走らせて仕事に
行ってきます。