舞妓さんと、看護師さん(?)御用達の紙文具店
祇園を訪ねるたび、必ず立ち寄るのが、「やま京」さんです。
大正時代創業の紙専門の文具店。
とはいっても扱うのは画用紙とかノートではなく、ポチ袋、千社札、ちり紙など祇園の芸妓・舞妓さんや、すぐ近くの南座でお芝居をされる歌舞伎役者さんらの御用達のお店です。
写真で、「やま京」のお父さん(花街では目上の男性を「お父さん」「お兄さん」ち呼ぶ)が手にしている真ん中の物が、「ちり紙」です。
芸妓・舞妓さんにとっては、お化粧直しの必需品です。その他、テーブルが少し汚れていたら、このちり紙でサッと拭いたりもます。また、懐紙替わりにもなます。
ところが、です。
この「ちり紙」が、コロナ禍の最中に、看護師さんたちの間で大人気になったというのです。というのは・・・。
たいていの不織布マスクの原材料は、合成繊維。看護師さんは一日中、マスクをしているので肌荒れが激しくて悩んでおられたそうです。
ある日、一人の看護師さんが、この「ちり紙」マスクの下に敷いてはめたら、肌荒れが解消したというのです。それもそのはず、和紙を作る工程と同じようにして手漉きで作った「ちり紙」の「都」という商品は、楮(こうぞ)100%ですから、肌に優しいのも頷けます。
それがネットで広まり、全国の病院の看護師さんから「やま京」さんに注文が殺到して、てんやわんやだったそうです。
ちなみに、「やま京」のお父さんが手にしている本の、向かって左側が、拙著「京都もも吉庵のあまから帖」。そして、右側が、小山愛子先生の大人気コミック「舞妓さんちのまかないさん」(小学館)です。
ともに、「やま京」のお父さんが物語の中で登場します。
とっても、優しい優しいお父さんで、芸舞妓さんたちから慕われています。
祇園へ遊びに行かれた際にはぜひ、「志賀内さんのnoteを見て来ました」と言って、お訪ねください。
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