就職活動

私は、学歴的に、まわりの人から「無理 無理」と言われていた会社に就職することができた。
就職を応援する立場の人にも「絶対無理」と耳にタコができるほど言われた。
今のところ、最初で最後の就職経験となった。
結局、上司と全く性格が合わず、早々に辞めてしまった。
(上司が毒親時代の母に似ているフシがあって、拒絶反応が出たんだと思う)
就職した会社は、業界のなかではホワイト企業だったと思う。
それでも、業界そのものがブラックだから、なんとも言いがたいが……。
きっと、他の人からしたら「もったいない」と思われるんだろうな。
でも、下痢をするほど毎日お腹が痛かったから、辞めたことに後悔はない。

学歴だけで落とされたところを除くと、面接までいければ、アルバイト含め 落ちたところはなかった。
正確に言うと、就職活動時は、第1志望の会社に通ったから他の会社は断った。
だから、最後まで受けて受かったかどうかはわからない。
「うちに来てくれませんか?」と言ってくれた会社が2社あった。
希望するところじゃなかったから断ったけれど、友人をオススメしておいた。
特に何も考えずにいたけれど、なぜなのだろう?
なぜ、私はそんなにも恵まれたのだろう?
(そういえば、1社だけ落とされた会社があったけど、面接の時に嫌味を言われたから、落ちて良かったと思った)

1社は、おそらく女性が欲しかったんだと思ってる。
女性で、ITに詳しい人が欲しかったんだと思う。
社長が女性だったから。
もう1社は、担当の人とものすごく仲良くなったからだと思う。

聞くに、人事の人にすごく気に入られると、その人が社長などの決定権のある人に推してくれるらしい。
だから、担当者と仲良くなるのは得策だという。
当時の私はそんなことまったく考えもせず、会社の製品についていろいろ知ってみたいという単なる好奇心で、いろいろ質問しただけなのだけれど。

でも考えてみれば、アルバイトの面接の時もそうだ。
100人以上が面接を受けて、10人だけ合格したアルバイトがあった。
まさかそんな倍率が高いなんて知りもせず、興味本位で受けた。
昔からその業界でアルバイトをしてみたいと思っていたからだ。
志望動機で、どれだけその業界が好きで、どれだけ働いてみたかったかを話した。
「受かってほしいけれど、落ちた時は別のところ探そう」くらいの気持ちで挑んだ。
そして、10人中5人が経験者ななか、残りの5人に入ることができた。

第1志望の会社では、グループワークがあった。
私は「面接楽しもー、良い経験になると良いな」くらいの気持ちで挑んだ。
問題が用意されていて、いくつかの選択肢があった。
グループ内で、どの選択肢を選ぶか決めて、なぜその選択肢にしたのかを発表する……というワークだった。
グループワークでは、担当決めがかなり大事だったらしい。(終わった後に知った)
だからみんなが「私がリーダーをします」「私が時間を見ています」「私がメモをとります」と積極的に言っていた。
「みんなすげー」と思いながら、それぞれ任せ、私は呑気にどの選択肢にしようか考えた。

そしてお互いに話し合い、選択した。
発表の原稿もつくり、よし!時間ピッタリだ!と思った。
しかし驚くことに、グループの全員が制限時間を間違えて聞いていた。
それで、10分ほど時間があまってしまった。
だから私は「じゃあ、実際に発表の練習でもしてみる?」と提案した。
みんなが賛成してくれて、2回練習した。
話すはやさとか、声のトーンとか、気づいたことをみんなで言い合った。
私が積極的に何かを提案したのは、その時だけだった。

そして最後に、感想文を書いた。
私はグループの話し合いがスムーズに行われたこと、うちのグループの発表者の発表がとても良かったこと、楽しかったということを書いた。
後になって、なぜ他人を褒めるようなことを書いたんだろう?と、自分に呆れた。
だって、自分がそれで落ちて、発表者が受かったら、なんだかやるせない。
……とは言え、楽しかったのは事実だったから、まあいいかとも思った。
「連絡先を交換したいくらい良い人たちだったな〜」なんて思いながら、ルンルンして帰った。

グループワークは通過し、最終面接。
私はあろうことか、道に迷った。
グループワークの会場と、場所が違ったからだ。
遅刻しそうになって、人事の担当者がわざわざ電話をくれた。
そして迎えに来てもらうという、私のバカさ加減ときたら、呆れて笑える。
エレベーターに乗ってる時、担当者の人が、なぜか面接の予行演習をしてくれた。
「え?こんなことしてくれるの?」と、驚いた。
この時点で、かなり気に入ってくれていたのかもしれない。

予行演習通りに面接は進んだ。
でも最後に、副社長が私に聞いた。
「あなたのそのパッションは、いったいどこからやってくるの?」と。
パッション…………?????
私はその謎の質問にどう答えようか少し考えた。
「私は、約束破りが嫌いなんです。それは、人との約束ももちろんなんですけど、自分との約束も破りたくないんです。それが、パッションなのかもしれません」と答えた。
我ながら、よくそんな答えが出てきたな……と拍手を送りたい。
私にはパッションなんてものはないと思うからだ。

最終面接が終わって、2時間後……家について、お昼寝しようとしてたら、合格の電話が鳴った。
「じゃあ、よろしくお願いします」と言ったら、人事の担当者が「え!?うちでいいの!?」と驚いていた。
「第1志望なので」と答えたら「よかった〜、そうだったんだ〜、いや〜よかった〜」と言われた。
第1志望って面接のとき言ったのにな?と思いながらも、その喜びの声に、なぜだか私も嬉しくなった。
後から聞けば、副社長がかなり気に入ってくれたらしい。
本当は採用枠が2人だったのに、3人になっていたのも、おそらく副社長の力が働いたのだろう。
(他2人は高学歴だった。ちなみに私は限りなく底辺に近い学校)

入社してからも、上司と合わないことを副社長に相談したりした。
「新しい部署を作ろうと思ってるんだけど、やりたい?」と聞かれて、渋ってしまったのは、今でも悔やんでいる。
あの時「やりたい」と言っていれば、まだあの会社にいたのかもしれない。

なんとか上司に理解してもらおうと、いろんなプレゼンもしてみた。
先輩からは「ついにやったか」と苦笑された。
なかには「このまま呑みに行きたいくらい」と言ってくれた人もいた。
それも、「じゃあ行きましょう!」と言えなかった自分を悔やむ。
だってその人は、その後、うつ病になってしまったから。

辞めた後、「うちで働く?」と言ってくれた人がいた。
その人はSNSで知り合った人で、友達でもなんでもなかった。
私が強引にその人にコンタクトを取って、「私は今こんなことで悩んでいます。あなたのブログを読んで、とても勉強になりました。相談できる人がいないので、失礼ながら、相談させてください」と連絡した。
何度か会って相談して、その人の仕事の成果もひとりで見に行って、「一緒に働かないか?」と誘ってくれた。
仕事をひとりで見に行ったときは、「勇気あるね!」と褒められた。
たしかに、ものすごく勇気を出したのだ。
でも「見ず知らずの私の相談に乗ってくれたその人がやった仕事なら、見ておかなければ」と思った。

しかし、私は前の会社で精神がボロボロになっていたので、感謝しつつもお断りした。
ちょうど、会社員時代にやっていた投資が、上手くいきそうだったのも手伝って「ひとりでやってみよう」と思ったのだ。

ここまで、つらつらと自慢のように書いてしまったけれど、本題はこれからだ。
なぜ、私がこんなにも恵まれたのか?

就職する前から、私が社会人に向いてないことはわかっていた。
じゃあなぜ一般企業に入ったかと言うと、後悔するとわかっていたからだ。
「やっぱり、一度は普通の会社に入っておけばよかった」と、いずれ後悔する日がくる。
だから、辞めることは最初からわかった上で、経験値として入社しておきたかった。

「甘ったれた考え方」だと、自分でも思う。
しかし逆に言えば、だからこそ心に余裕が持てたんだと思う。
当時は余裕なんてないと思っていた。
どんな時も真剣だったし、必死だった。
けど、振り返ってみれば、やはりどこかに余裕があったのだ。
相手を思いやる余裕、相手の気持ちを汲む余裕が。

就職活動というのは、結婚のお見合いと似ている。
結婚するには「自分 自分」では不可能だ。
むしろ「相手:自分=7:3」くらいの余裕がなければ、厳しいだろう。
これが「相手:自分=9:1」になってもダメなんだと思う。
まして「相手 相手」でもダメなのが、難しいところだ。
つまり、相手の求めるものを、自分が相手に求める以上に与えなければいけない。
しかし、自己犠牲をしてまで相手に尽してはいけない。

就職活動でも、会社側が求めるような人材となることが大事だ。
未経験だったとしても、会社側が求めるような人材になり得ることを示さなければいけない。

友人の、会社に提出するときの履歴書を見せてもらったことがある。
「全然受からなくて焦ってる。直す点があれば教えてほしい」と言われた。
受からなかった時の友人の履歴書は、とにかく「私はこれがしたい」という文が多かった。
そうではなく、「これができる。これを会社に提供できる。だから、あなたにとって私は必要な存在なんだよ」と教えなければいけない。
そう書きかえて、友人は3社合格をもらった。

「うちに来てくれませんか?」と言ってくれた会社も、アルバイト先も、前の職場も、辞めた後に誘ってくれたところも、おそらく、私が相手に一定のモノを提供していたのだと思う。
ITに詳しい女性を求めている会社、製品に興味を持ってくれる人を求めている会社、商品が好きだとお客様にアピールできる人を求めている会社、新しい風を吹かせられるような人を求めている会社、居心地良く働ける人を求めている会社。

相手がどんな人材を欲してるかはわからないが、これだけ会社があり、ここ数年は売り手市場なのだから、その人にできることを求めている会社はきっとどこかにあるだろう。
まあ、今はコロナで少し就職率が減っているかもしれないが。
大事なのは「自分が何をやりたいか」ではなく「自分が何を提供できるか」を示すことだ。
自分が何をやりたいかは、ちゃんと自分が知っていればいい。

あとは、質問にきちんと答え、最後に「本当に聞きたいこと」を会社に聞く。
就職活動をするとき、私たちは審査される側かもしれないが、審査する側でもあることを覚えておくことだ。

この記事は、将来の自分のために書いている。
もし投資がうまくいかなくなった時、どうしたって就職しなきゃいけないからね。(笑)
でも、年齢が上がると、また違うこともあるのかな〜。
まあ、生きれれば、なんでもいいや。
常に心の余裕は持っていたいね。
じゃなきゃ、うまくいくもんも、うまくいかないもの。
いつだってそうだ。
毒親問題を解決した時も、心の余裕が大事だった。
余裕がないときほど、うまくいかない。

焦ったら、一度止まる。
「焦るな、止まれ」が、私のモットーだ。

サポートに興味をもっていただき、ありがとうございます。いつか 私の文書が、あなたの手元に残る形になって あなたをそっと支えられればと思います。