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商業漫画と創作漫画

商業漫画の実績も積みたくて、創作と並行的にチャレンジ中の桃缶です( 'ω' )
ここ最近得た漫画業界に関する知識と、それに関してわたしが思ったことをまとめておきます~。

▶商業漫画のこと

ビジネスって(当たり前ですが)需要と供給で成り立っています。
中学のころ公民で見たあの、需要曲線というやつです。
商業漫画もビジネスなので、これに当てはまります。

ところが漫画というものを捉えるとき、絵画や芸術という目線で捉えがちです。
漫画家さんのなかには絵がとにかく美しくて芸術性の高い作品を描かれるかたも多いですし、心情表現などで芸術性を発揮されるかたもいらっしゃいます。
これは持論ですが、漫画だけでなく伝統工芸や職人ワザと呼ばれるものはほとんど芸術と区別がないと思っています。
同一線上にあって、研ぎ澄ませれば芸術の域に入るというイメージですね。
芸術作品の作り手は自己表現が目的であり、販売が目的ではありません。
芸術がビジネスになる瞬間は、売る気がないものに勝手に値段をつけて売買する、もしくは作り手が買い手のオーダーを受けてものを作る瞬間です。
そう考えると、芸術というのは誰にも発見されていない状態のことを言うのかもしれませんね(;'∀')

図

話がそれましたが、作ったものをお金に変えるには、欲しいと言ってくれる人の要望に沿わねばなりません。
いまわたしが携わっているジャンルは青年誌ですが、青年誌は比較的要望の縛りがゆるいほうだと思います。なんでもアリ、という気風が強い。ただし、人生の酸いも甘いも経験している青年が対象なので、感情表現をよりつっこんでよりリアルにしなければ浅い印象を持たれてしまうと思います。
少年誌や少女漫画は逆で、王道がハッキリしているためそこから遠すぎないものを求められます。

しかし昨今、漫画のジャンル分けってそんなに意味を持たなくなってきたなあと感じます。
というのも、少年誌で青年誌のような複雑で深いテーマを扱ったり、少年誌なのに少女漫画みたいな恋愛系漫画が出たりしているためです。
もともとこういうジャンル分けは紙媒体時代の雑誌の縛りでしょうから、WEB漫画やアプリ漫画が出てきている時点で機能しなくなっているのは当然といえば当然です。
いまはどちらかというと読者が何を読みたいか検索するためのタグとして、ジャンル分けを使っているという意味合いが強いと思います。

さて、これだけWEB漫画やアプリ漫画が乱立して、おまけにKindleでは誰でも無料で出版することもできるようになり、明らかにもう本(出版)では食っていけなくなってきている時代に出版社はどう生き残るのか。
ビジネスの舵をきらなければならない岐路に立たされていると感じます。
いま経営の舵を握っているのは誰か?おそらく紙媒体時代にひとやま築いたひとたちだと思いますが、果たして路線変更はできるのか。
決断には勇気が必要だと思います。
どこが先陣切って動くのか、楽しみです(*^_^*)

▶創作漫画のこと

オリジナル漫画は、昔から自費制作しているひともぱらぱらいましたが、それでも今に比べると自費制作のハードルは相当高かったと思います。そもそも無名の一般人がただ描きたくて描いた漫画を、WEBの投稿サイトが整っていなかった時代にその場で見てお金を出して買ってくれるなんて奇跡です。
しかしいまやコミティアは5000サークルも集う大きなマーケットになっていますし、Pixivや無料の漫画投稿サイトにアップして読んでもらう術も増えました。TwitterやPixivで先に創作漫画家を知っていて、コミケやコミティアで実際に会う、というケースがほとんどなのでは。

自費制作も電子書籍なら無料でできるようになりましたし、出版社や印刷会社、書店などが介在しないのでバックも大きいです。
出版社を通すとバックが単価の10%程度なのに対し、全部自分で電子販売の手続きをおこなえば最大70%バックがあります(Kindleの場合)。
電子書店を仲介としても平均30%ほどのバックといわれているので、出版社と比べると利率はいいと思います。

ただ、出版社は宣伝の力が大きいです。企業ネームバリューです。
自費制作は自力で宣伝しなければならないので、大手出版社が核爆弾を落としてくる中、ヤリで戦うようなもんです。
全然歯が立たない(´_ゝ`)ま、そりゃそーです。企業の敵は企業。個人を相手にしてるわけじゃないので。
単価に対するバックは自費制作のほうが大きいにしろ、販売母数は出版社経由が圧倒的です。
ここが、出版社でやっていくか自分でやっていくか、決断を分けるところだと思います。で、実際に自分でやっていくと決断したかたもちらほら出始めていますが、なかなか自分でやっていくほうに踏み切る数が少ないのが現状のようです。
なんだかんだいって出版社に面倒見てもらうのはラクなんですよね、全部自分で手掛けるよりも。

図2

▶思ったこと

商業漫画か創作漫画か、どっちが得でどっちが損かというよりも、漫画を生業とする方法のスタンダードが崩壊して今再構築してる最中にある、そう認識することが重要だと思います。
このスタンダードの崩壊は悲観することばかりではないと思っていて、むしろ腐ったものが土に還る現象に似てるんじゃないかなあと感じます。

ビジネスに関していえば、組織論でも成熟期のあとは崩壊が起こります。
安定・ベストな状態・無双状態、長い短いはあるにせよこの状態は永遠には続きません。
必ず崩壊します。
崩壊は再生の始まりです。
崩壊したら、前よりいいものを作ればいいのです。
出版業界からすると、いままでの常識が崩れ去る恐怖があるでしょうが、でも作家側にはいつも求めているじゃないですか。いいものを作れと。
同じことです。
いい漫画業界を再構築してください。日本文化として誇れる漫画業界を。

余談ですが、個人的には、出版が儲からないとなると出版社は映像(アニメーション)に舵をきったほうが当面の生計は立てやすいと思います。
映像や動画コンテンツは小説や漫画で文字を追うよりも圧倒的に入りやすいからです。
現代人は時間がないです。とにかく無駄を嫌います。
アプリ系の漫画を読む読者層は若いひとが多いですが、漫画すら字が多いと感じるし、複雑な長編が毛嫌いされる。そんなに待ってられないし覚えてもいられない。簡単で単純な、消費しやすいコンテンツを好む。
単に、売れる・閲覧されるというところを狙うならば、その層に向けて漫画を映像化してあげるだけでも十分だと思います。
いずれにしろ業界の体質改善は必要ですが。

商業と創作の垣根はこれからもっとフラットになっていくと予想できますが、そうなると漫画自体が原点回帰するなあ、と思います。
伝えたい想いが作家にあって、受け取りたい読者がそれをキャッチする。
本来これを最適化するために出版社が存在したわけですが、いまや出版社を仲介しなくても情報は集められるようになった。キャッチしたいものを自分で選べるわけです。
カスタマーの欲しいものにダイレクトにアプローチする、AmazonもGoogleもそれを目指していますよね。世界が、その方向へ流れています。

読者の欲しいものとマッチする漫画が、商業創作の垣根を超えて届けられる、そんな日が来るといいなあと願っています(*'ω'*)

わたしの好きを詰め込んだマンガですが、届いてくれることを願って。応援いただけると本当に嬉しいです。