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#スマホに子守りをさせないで は母親を苦しめる呪縛だ

みなさんは「スマホに子守りをさせないで」と書かれたポスターをどこかで目にしたことはないだろうか。わたしは近所の子育て支援センターでポスターを目にした。

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わたしはこのポスターに強烈な違和感をもった。このポスターの作成者は、母親たちがスマホに子守りをさせたくなくとも、させざるを得ない現状をどこまで把握しているのだろうか。もしそのことに少しでも目を向けていれば、これほどまでに母親を苦しめるポスターを作成しないのではないと思う。

このポスターは見ていただくとお分かりかと思われるが、〇(すべきこと)と×(すべきでないこと)の対比構造をとっている。二番目の絵において、〇は絵本を読み聞かせる父親と赤ちゃんの絵が描かれ、×はおそらくパソコンか何かで作業をする母親とタブレット端末で遊んでいる赤ちゃんの絵が描かれている。母親の作業内容が仕事なのかは不明だが、仕事をしているようにもみえる。

この絵を×と書く作成者の意図は一体何なのだろうか。作業(もしかすると仕事)は子どもが寝てからするべき、子どもが起きている時間は絵本の読み聞かせやそのほかの遊びをすべき、ということなのだろうか。コロナ禍で保育園、幼稚園に子どもを預けられない女性が在宅で仕事をせざるを得ない状況が明るみになり、メディアでも多く取り上げられた。子どもが寝てくれれば仕事が出来るのに、と思っていた女性は数多くいただろう。しかし仕事は待ってくれない、仕事をせざるを得ない。その際子どもを見てくれる人が他にいればよい。しかしそうではない場合、スマホやテレビに頼らざるを得ないのではないだろうか。

にもかかわらずこのポスターは彼女たちに×と烙印をおす。

もちろんこのポスターはコロナ禍以前からあるため、そこまでの意図をもって作成されたとはわたしも思っていない。しかし在宅で子供を預けられない状況で仕事をする親はコロナ以前からいたであろうし、そんな親たちを責める可能性のあるポスターを作成する必要は、果たしてあるのだろうか。

少し話はそれるが、このポスターはおそらく、子どもをスマホ漬けにしているごく一部の親(同内容を一番啓もうすべきと思われる層)には響かないと思われる。彼らは「スマホの何が悪い?」と考えているだろうからだ。あるメッセージを送る際に、一番メッセージを届けたい「意識の低い層」よりも「意識の高い層」に響いてしまうことは往々にあることだ。(注釈1)。

注釈1)そもそも子どもをスマホ漬けにしている親をどう定義するのか、どれほどいるのかは定かではない上、その理由にも幅があると考えられる。そういった層に啓蒙したいのであれば、やり方を変えるべきだろう。

おそらくこのメッセージが響くのは「スマホに子守りをさせたくないけれどさせざるを得ない」親たちになってくる。その時このメッセージが彼らをどれほど苦しめるのか、ポスター作製者はわかっているのだろうか。



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