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街は劇場

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日々すれ違う名も知らぬ皆にツッコんだりグッときたり
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#今日のつぶやき

壁と卵

もしかしたら幻かもしれない。 毎回不思議な気持ちになる。 電車でしょっちゅう一緒になるおじさんのことだ。 おっちゃんじゃない、おじさん、という感じのする人。 紳士というと言いすぎだけれどおっちゃんじゃない、おじさん。 毎回きちんと座席に座っておられる。 文庫本をひろげていたりいなかったりする。 会ったり会わなかったりするのだがつい先日も遭った。 わたしはその人の見た目や特徴を覚えていない。 だから電車内では気付かない。 だって覚えてない。 でもしょっちゅう会っている。 降

骨 あなたって、あなたって

チェーンの古本屋のカウンターでお客さんが店員さんに延々話しかけていた先日。 (おっちゃん、にまでいかない、にいちゃん) どうでもいい世間話や己の話を延々と延々と買取カウンターでしていた。 わたしが売ってる間も買うてる間もレジに居て話しかけていたから短い時間ではない。 店員さんはうまく相槌を打っていた。いつものこと、いつもの人なんだろうなと思った。 なんやろね。なんなんやろね。キモいね。やさしいね。 以前スーパーで似た状況に遭遇して店員さんと目が合った話はここに書いた。 ほ

beautiful

きのうの朝の話、 電車の中で海外からの旅行客が若者に絡んでいた、でっかい声で。 旅行客はおっちゃんふたり、若者はギターケースを抱えた学生さん風。勿論、他人同士。 程よく混んだ社内で3人は立っていて、わたしは少し離れたところに立っていたのだが、おっちゃんらの声はめっちゃデカい、声もリアクションもデカい。 「cuteは?」「cuteはかわいい」「おー! かわいい! かわいい!!」 「beautifulは?」「きれい」「わー! おー! きれい!」「きれいbesutiful! おー!

ひよことフィリップ・マーロウ

朝の商店街の前に大量のひよこが、と思ったら幼稚園児たちだった。 あの黄色い帽子はいつ見てもひよこを連想させる。 狭い商店街の入口を20人弱がふさいでしまっていた。 若い元気そうな男の先生が声を張り上げる。 「ほら、お買い物の人たちの邪魔にならへんよーにー!」 わたしはちびっこがあまり好きじゃないというか得意じゃない。 頭が下がる。幼稚園の先生ってほんまたいへんそうな仕事やなあ。 お天気の日に外に出ての課外授業? そりゃひよこたちもテンションあがるよね。 わらわら楽しそうに思い

日曜日よりの使者

日曜夕方晴れ川沿いを自転車で走った。 諸々の理由で午前中ずっと力仕事的なものに駆り出されていたがやっと解放され、でもその延長の用で近所からすこしいった川沿いを走る、民家の並びも横目に走る。 ふとみると、と言っても通り過ぎる一瞬だが、 若い男の子たちが倉庫のガレージでバーベキューをしていた。 男4人、ちょっとヤンキー感もあるけれどそこまで若くもチャラくもない兄ちゃんたちが、げらげら笑いながら、でも騒ぎはすぎず、肉を焼いて、食べていた。 川沿い、晴れすぎない暑すぎない、空、雲、倉

Battle

仕事を中断して夕方アレルギーの定期健診へ行った。 相変わらずおばあちゃん院長とバトルである。 というと物騒に聞こえるかもしれないがそんなことはない。 よくもわるくも長い付き合いが故に 「あー、あんたか」って感じで接して来られるので、 こちちも一方的な診察を一方的には聞かない。 「はい」「はい」となにもかもを鵜呑みせずに 「え、それはちゃうんすけど」などど事実を伝えている。 偉い人だろうと医者だろうと自分自身だろうと 「まずは疑う」のspiritを余計なところで大発揮、 反抗や

紫陽花と老人

老人は足をよろよろ引きずり歩いてきた。 立ち止まりぼきっと紫陽花の花を折った。 きのうの朝、7時過ぎ、雨の中の話です。 遅く寝たのに早く目が覚めて、 ちょっと散歩しようかと外へ出た。 しばらく歩くと、近所じゃないけど近所の幼稚園。 紫陽花がとてもきれいに咲いてる。 それも塀から〝わっ〟と乗り出すように。 なんかチビッコたちみたいに元気でいいな。 通りかかる時に思っていたのは、わたしだけじゃないみたい。 パシャリと写真におさめているひとを見かけたことも少なくない。

仏と戦国武将とにゃんこ大戦争とちびっことわたし

街中によくあらわれる某宗教団体の建物の前、 信号待ちで立ち止まったらちびっこが大声で言っていたからびっくりした。 「僕らは死んだら仏様になるねん」 思わず振り向くと、お母さんらしき人が申し訳なさそうな顔をして頭を下げた。 ちびっこは構わず妹(だと思う)に 「今日戦国武将の話しかしてへんわ俺」とか 「ちゃうわ、にゃんこ大戦争の話しかしてへんわ」とか言っていて そうしているうちに青信号に変わったのでわたしもその家族も歩きだしたのだけれど。 〝仏様〟〝戦国武将〟〝大戦争〟 ワードが

その街とその場所 もっきり・街歩き・昼の銭湯

土曜日の午前中に自転車を走らせていて、 商店街で降りてそのまま押して歩いた。 一軒の酒屋の前でジャージ姿のおっちゃんが自転車を降り、停め、そのまま店に入った。 中からお仲間たちの迎える声「おはよー」 酒屋の店のちいさなカウンターで駄菓子だとかおかみさんが拵えるちょっとしたおかずなんかをつつきながら呑むアレ、角打ちというやつだ。 じろじろ見るのも失礼やし、通る際にちらっとだけ見たら、 数人のおっちゃんらがいわゆる「もっきり」を並べてわいわいやってた。 桝の中に置いたグラスに日本

空気の衣

世の中のほとんどのことは嘘だと思う。   特に金銭のやりとりが発生する場や間柄である場合はそうであることが多いことない?  嘘じゃないけれど嘘、が、言葉としては近いかなぁ?  でもね。 その瞬間瞬間、一瞬一瞬は「ほんとう」なのだと、とても、わたしは思う。 ほんとうとなるし、ほんとうに、ほんとうなのだ、って。 さらに、その嘘とほんとうの重なりと積み重なりは限りなくほんとうとなる。 ほんとうに。 だから人間はかなしく怖く、とても愛しく、とてもとてもうつくしいな、

人にやさしく

近所に謎のおっさんがいる。 ひとりで住んでる。いつも同じ服。ベランダには同じ服が数枚干されてる。 たまに2階から顔をだして挨拶される。「おー、ええ天気やなー」 毎日昼過ぎの同じ時間に駅のコンビニに夕刊フジを買いに行ってる。 新聞ひとつを買って長時間店員としゃべっている姿をよく見かける。 決まって同じ美人の店員としゃべってる。 正直ちょっと思っていた。「キモいなあ」 「キモいなあ」はもうちょっとありもする。 家の前で大荷物やゴミを拾ったりなどしていたら飛んできて

【2円の力】本屋でじいちゃんが店員に絡んでた話

先日、夕方、近所の駅近の本屋にて。 レジ前でジジイが店員に絡んでいるのを見た。 おじいちゃん、ってなんか下に見たような言い方やからジジイって書いたんやけど、 ジジイ、っていうほど凶暴な感じでもないな。 大阪のおっちゃん、大阪のおっちゃんが歳とってじいちゃんになったような。 大阪のじいちゃん。これ、これがピンと来る。お喋りなじいちゃん。これ、これや。 一方店員。 若い男の店員さん。 いや、めちゃめちゃ若くもないか。 髪の毛の長い、黒い髪の毛の長い、チャラくはないけどチャラい